東洋経済オンラインに、興味深い記事が掲載されているのを見つけました。
アメリカの最近の経済指標や企業収益全般を見渡すと、ほぼ予想どおりに悪化が進んでいる。しかし、同国の主要な株価指数はここ数日、頭が重く、やや下押しの状況とはなっているものの、筆者が見込んでいたような大きな調整は実現せず、かえって底固さが目立っている。
米国株市場は現在、あまり成績が良いとは言えない状況になっている。NYダウの年初来の成長率は2%程度であり、S&P500指数も8%程度の上昇となっている。
米国の金利が上昇している現状、株式投資のリスクを考えるとそれほど褒められたリターンではないことは明らかである。
とはいえ、米国株市場は”想定通り”の悪化が進んでおり、マイナスとなっていないだけ頑張っているように思います。どこかで調整が起きてもおかしくないと思いますが、ある意味安心して見ていられるのが米国株市場の良いところです。
一方で日本株は現在、上振れして調子が良いです。年初来のリターンは10%を超えており、主要な国の株価指数と比較しても良いリターンだと思います。
これには今月半ばに、伝説の投資家、ウォーレン・バフェット氏が来日して日本株を買い増しし、保有していることを明らかにしたことも大きな要因でしょう。
『オマハの賢人』の発表によって、海外投資家たちも「見落としがあるかもしれない」と日本株を再評価して買いが優勢になっているため、リターンが押し上げられているに過ぎません。
もちろん、バフェット氏も日本株が割安になれば更なる投資を考えているようではあるが、日本企業に低PBR企業が多いのは今に始まったことではありません。
日本企業は、自社の価値を高めることに尽力する経営者は少ない。というより「頑張っても結果が出ない」「自社の価値を高める方法がわからない」と言った方が適切だろうか。
日本企業の経営者は、従業員から成り上がった「サラリーマン社長」か、代々受け継いできた「世襲社長」が大半を占めている。
取締役会もその機能を果たせず、経営者のイエスマンで固められているため、経営を立て直すことが困難な環境となっている。
もちろん、経営を好ましい方向に大きく変化させる日本企業はあるが、新しいことを受け入れ難い日本の風土では、安定した成長性を期待するのは難しいように思えます。
海外投資家の間では「日本企業が東証に言われたから経営改革できるのなら、とっくにできているだろう」との冷静な声もあるとのことだ。
現在の日本株の低PBR株物色と、それがもたらしている日本の株価全体の押し上げ効果は、単なる「ブーム」に終わりそうだと懸念している。しかも、足元で想定外に上振れしている分だけ、先行きの株価については「正常化」という名のもとに下落が一段と大きくなりそうだ。