アメリカの株式市場にも目が覚めるような強烈な冷え込みが訪れているが、ロシア株に関しては、米国株が可愛く思えるほどの、シベリア並みの大寒波が訪れているようだ。
ITメディアによると、ロシア株に投資する「NEXTAGE FUNDS ロシア株式指数・RTS連動型上場投信」の評価額がゼロになってしまうという事態が訪れたようだ。
野村アセットマネジメントは4月25日、運用するロシア株に投資するETFについて、「現時点で換金できる見込みが立っていないことから、ロシア株等の評価価格をゼロとすることが妥当と判断」したと発表した。

その結果、同ETF「NEXTAGE FUNDS ロシア株式指数・RTS連動型上場投信」の基準価格は前日から98.23%下落して、1.88円となった。過去の分配金を元にした、計算上の分配金利回りは367%に上昇している。同ETFは、2008年7月に上場。設定来の騰落率は42.9%のマイナスだが、直近1カ月では0.9%のプラスとなっていた。
一国の株価指数に連動するETFが”価値ゼロ”とみなされて実質的な減損をされるなどというのは記憶にないですし、金融史における歴史的な出来事だと言えるのではないでしょうか。
ロシア株に対して、一発逆転を狙って儲けようと企んでいた人々の資産が吹き飛んだというのは、自業自得ではありますが、今回のケースは投資のリスクにおいて軽視されがちな『カントリーリスク』が最も顕著に現れた例だと思います。
以前、的外れな指摘で有名な金融ジャーナリストの荻原博子氏がかつてのソ連を例に出し、長期投資を否定しておりましたが、その時もソ連とアメリカではカントリーリスクが違いすぎることを私は指摘しました。
表立って社会主義を主張している国は、資本主義的な経済成長を真っ向から否定していることになります。そもそもロシアは戦争の有無に関わらず、成長性の低い国であることは誰もが知るところではないでしょうか。
そんな国でも戦争などの非常時においては、もしかしたら大きく儲ける可能性があったのかもしれませんが、独裁政権、軍事政権の発展途上国という危険な香りしかしないロシアという国に投資すること自体がそもそもの間違いだと言えるのではないでしょうか。
日本にしても便宜上、資本主義となっていますが、成長性と将来性においては他国とは比べものにならないくらい低く、やっぱり投資先として良い国かと言われるとそうではないと思います。また、地政学的にみても日本はカントリーリスクが低い国だとは決して言えないはずでしょう。
カントリーリスクという点においては、ロシアも日本も積極的に投資すべき国とは言えず、やはり近代史においては最強の国であり続けるアメリカへの投資が我々にとっては資産形成のチャンスなのではないかと思います。
ロシア株ETFなんてそもそも近づくべき存在ではなかったと思いますが、戦争による混乱期を利用して大儲けしようとした投資家さんたちには、「このたびは、ご愁傷様でした」と言葉を送ります。