国際決済銀行(BIS)が17日発表した円の総合的な実力を示す「実質実効為替レート」(2010年=100)は、1月の数値が67・55となり、1972年6月以来、約50年ぶりの低水準となりました。

実質実効為替レートは、ドルに対する円の価値を示すような2国間の為替相場とは異なり、主要国の物価上昇率や貿易額なども考慮して通貨の総合的な購買力を示す指標。数値が大きいほど、海外からのモノを安く買えるというもので、10年前と比べて、円の購買力が3割以上下落したということになります。
1972年と言えば、現在のような変動為替制度が始まる前の年で、1ドルは300円前後を付けていました。今では考えられないほどの円安ということで、つまり円の価値がほとんど無かったというのが1970年代の状況でした。
その後、日本経済も成長しバブル期を迎えましたが、バブルが崩壊した1990年代以降は日本経済には良いとこなしの状態が恒久的に続いているのである。
日本円はなんだかんだいって、米国ドル、EUのユーロと並んで世界3大通貨として信用力はあります。ただ、その信用力も日本国の信頼あってのことです。長年戦争や紛争などの争いが無く、平和な国であるため、日本円は信頼されていますが、といって、日本が経済的に成長しない国だということが世界中にバレてしまえば、円を保有する価値があるのかどうかが問われる形になってしまいます。
先進国だけでなく、同じアジアの諸国と比較しても存在感が薄まりつつある現状、円の購買力が衰えてしまうのも仕方のないことなのかもしれません。
しかもこれから中長期的に見ても、日本経済が回復する糸口は全く見受けられません。2000年代には主張していた『日本の技術力』も、業界によっては今や中国や韓国と比較してどうなの?と思えるレベルになってしまいましたし、成長性のある産業ではことごとく日本は後れを取っています。
我々は日本で働いて日本円でお金を稼いでいる人が多いと思いますが、今後は没落していくだろう日本円だけを保有していても、どんどんジリ貧に追い込まれるだけです。
日本に住んでいれば円だけでも問題ないと思う人もいるかもしれませんが、決して無関係ではありません。日本は輸入に頼らなければ日常生活を維持することもできない国です。食料自給率の低さなんていうのは、小学生でも社会の時間に学んだことがあると思います。
円の購買力が下がれば、輸入にかかるコストが上がり、最近のように企業が何でもかんでも値上げをせざるを得ない状況に陥ってしまうのです。
給料が上がっていないのに商品だけ値上がりし、生活がどんどん苦しくなっているのは、まぎれもなく日本の成長力・信用力が落ちてしまっている証なのです。
今ですらこれだけジリ貧なのですから、我々が老後を迎えるころにはどうなるのでしょうね・・・やはり今後は日本円だけでなく、基軸通貨である米ドルベースの資産を保有していくべきなのではないでしょうか。