いつものようにネットサーフィンをしていると、非常に興味深い記事を見つけてしまいました。

北海道に住んでいるという鍵本英人さん(仮名・28歳)の2021年の年収はたったの約245万円。国税庁の「民間給与実態統計調査 令和2年」によると、25~29歳男性の平均年収は393万円ですが、全国平均からは150万円近い乖離があるということだ。
「月10万円以上も開きがあるんですか……。なんとなく想像はついていましたけど、できれば聞きたくなかったです(苦笑)」
このように語る鍵本さんですが、現在は契約社員の介護士として働いているのだそう。記事を見ていると、介護士と言う激務にもかかわらず、介護職の給与水準の低さがよく分かる内容となっています。
手取り月収は17万円ちょっと。安月給にもかかわらず、3年前に別れた元嫁との間には子供が1人おり、養育費として毎月3万円を振り込んでいるとか。そのため、残りの14万円弱で生活しなければなりません。
自宅は札幌市内にある築40年以上の2DK中古マンション。街の中心部からは少し離れていますが、管理費・駐車場代込みで家賃は3万2000円とリーズナブル。1人で住む分には余裕のある広さです。
「建物が古いので不安でしたが、意外としっかりした造りで、そこは安心しました。ただ、駐車場は野晒しのため、毎朝、除雪しなければいけないのは大変ですね。この家賃で文句は言えませんけどね」
元妻と別れたため、現在は一人暮らしという鍵本さんですが、結婚当時から住んでいるのでしょうか。マンションは2DKと一人暮らしとしてはかなり余裕のある作り。それでも家賃と管理費・駐車場代込みで3.2万円はさすがの北海道クオリティと言わざるを得ません。
北海道は日本でもトップクラスに家賃が安いです。それだけ広大な土地があるということなのですが、札幌市内ですら、ワンルームマンションなら家賃2.5万円~でも見つけることができるレベルです。
それを差し引いても、3.2万円は安いですし、2DKという広さもありますから、無理に引っ越しを進める必要もないでしょう。一人暮らしでもっと切り詰めれば安いマンションも見つかるかもしれませんが、引っ越し費用を用意するのも一苦労でしょうからね。
北海道の氷点下の中でも、暖房を極力使わないという鍵本さんの生活ぶりから、限界ギリギリの貧困度合いがうかがえます。
水道代節約のためにバケツに雪を詰めて溶かし、トイレや食器洗い、洗濯などの生活用水として利用しているとのこと。大正時代かな?とも思える生活ぶりに、とても20代とは思えない気苦労を感じるのです。
そんな手取り17万円、養育費を差し引いて手取り14万円の生活をしているにも関わらず、毎月4万円近い貯金ができるというのだからたいしたものである。これは車の買い替え費用だから実質的な貯金はもっと少ないというが、それでも素直にすごいと思います。
「今乗っている軽自動車にガタが来ているため、買い替え用の頭金として貯めているだけなんです。足がなくなったら職場にも通えず、死活問題ですから。それに前の会社を辞めて、今の介護の仕事を始めるまでバイト代だけだと足りないから定期預金だって解約しちゃった。だから本当の意味での貯金は10万円もないんです」
私は常々、保育士や介護士といった、現在の社会問題となっているところに従事する方々の給与水準はもっと引き上げてしかるべきだと感じています。
政治家たちも、近いうちに介護士にお世話になるんだから、もっと介護士の給与をアップして、質の良いサービスを提供してくれるようにしておかなければ、老後は安泰とは言えないはずなのですが・・・介護士の待遇は一向に良くなりません。
誰でもできる仕事だからとはいえ、若い間しかできない完全な肉体労働ですし、対人関係も良好に保てる人でない限り、老人の相手はなかなか勤まらないでしょう。
彼らのような極限の貧困層には、なかなか投資を勧めることも難しいです。毎月4万円の貯金を投資に回すことが可能なら、まだ20代ですし、それなりの資産を築くこともできるでしょうが、車の買い替えに必要な資金ということですからそれもままなりません。
投資をするのであれば、生活に必要なお金には絶対に手を付けてはなりません。あくまで日常の節約から捻出した余剰資金をベースにお金を働かせるのが長期投資の最低条件です。
すべての若年層に投資を始めてほしいという気持ちはありますが・・・さすがに手取りが10万円台で一人暮らしだと厳しいと言わざるを得ないですね。
彼の家庭環境は分かりませんが、もし可能であれば実家暮らしをして資金をため、投資をしたり人生をやり直すための資金としていただきたいものです。専門学校卒だからと言って諦めるのはやっぱりナンセンスだと思います。私の知り合いにも会計系の専門学校だけを卒業した公認会計士や税理士がたくさんいますからね。彼らは当然日本人の平均を超える収入を得ています。
士業と呼ばれる彼らと同じく、介護士にも何かしらの救いの手を差し伸べていただきたいと私は切に願います。そして、介護士が”諦めた若者”だけの職業でなくなることを祈るばかりです。