

マニュアルコンサルティング事業を運営するグレイステクノロジーという企業に上場廃止の危機が迫っている。

同社は昨年11月、過去の会計処理の適切性に疑念があると発表し、特別調査委員会を設置して調査を進めていたということだ。
調査のために21年7~9月期の四半期報告書の提出期限の延長を関東財務局に申請し、期限を今月17日に延長していたのだが、期限を守れなかったということで、東証は同社株を監理銘柄に指定した。
今月27日までにグレイスが四半期報告書を提出しなかった場合、同社の上場廃止が決定するということで、同社の株価は大暴落。昨日も1日で65%もの大暴落となり、過去1年で97.48%の大暴落と、ほぼ紙屑になってしまったことがお分かりいただけるだろう。


不正会計の恐ろしさを改めて感じましたが、今回はそれどころではありません。なんと、同社の株式をノルウェー政府年金基金が45万株、発行済株式の1.5%を保有していることが分かりました。
もし今回の不正会計騒動に巻き込まれてしまったのであれば、ノルウェー政府年金基金の損失は決して小さくはないと思います。仮に1年前に投資をしていたとすれば、それだけでも損害は日本円で14億円、現地通貨にして約1億ノルウェー・クローネ程度となりますからね。
我が国のいち企業が不正会計などという許し難い行為に走ったせいで、ノルウェーにお住まいの美女たちの老後資金が危ぶまれるとなれば、国家の恥だと言えるのではないでしょうか・・・!


しかし皆様、ご安心ください。彼女たちの老後は、賢明なノルウェー政府年金基金によって厚く守られています。
ノルウェー政府年金基金は、世界最大級の投資ファンドで、コロナ禍で大混乱となった2020年でも10%を超えるリターンを得ることができたとのことだ。
ノルウェー政府年金基金の運用額は昨年末時点で、日本円にしておよそ160兆円と莫大な金額となっています。ちなみに、日本のGPIFの運用金額が194兆円程度です。
運用金額ではGPIFの方が勝っていますが、日本の人口が1億2000万人に対して、ノルウェーは人口が536万人と言われています。これを考慮すれば、ノルウェー政府年金基金の規模の大きさがお分かりいただけることでしょう。
じゃあ、どうしてノルウェー政府年金基金がそれほどの莫大な資金を運用ができているのかというと、元々同年金基金が、石油産出国であるノルウェーの石油収入を運用するという目的で、GPIFよりも早い1990年に立ち上げられた基金であることと、リスク資産である株式への投資比率が高く、リターンが大きいことが挙げられるのではないでしょうか。
石油産出に関しては日本はどうすることもできないので、ここでは言及しませんが、GPIFがおおよそ債券50%、株式50%の比率で年金を運用しているのに対して、ノルウェー政府年金基金は、債券が30%、株式が70%と、なかなかアグレッシブな投資を実施しているのである。
その影響で、リーマンショックが発生した2008年には年間で20%以上も資産を溶かしてしまったのですが、「長期・積立・分散」の資産運用を心がけ、トータルでは株式からかなりのリターンを得ているのが実情です。
およそ70カ国、1万社近くの企業に投資をしているノルウェー政府年金基金は、日本の小さな企業が不正会計で大暴落したところで、大したダメージも受けないことがお分かりいただけるでしょう。
グレイステクノロジーが本当に不正会計に手を出してしまったのでれば、糾弾されるべきで、事実であれば上場廃止は当然の結果だと言えます。
ノルウェーがグレイステクノロジーに投資した金額がゼロになったとしても、北欧美女の老後資金が脅かされることがないのであれば、何の問題もありません。ぜひ、東証には厳重な対応をお願いしたいところです。