新興家電メーカーの「バルミューダ」は、社外取締役で、メガネ販売大手「ジンズホールディングス」の社長を務める田中仁氏が、業績予想の上方修正の発表前に自社の株式を買い付けていたことを明らかにしました。
会社は「悪意はないと考えている」と説明していますが、結果的にインサイダー取引に該当するおそれがあるとして、社外取締役などに対し、報酬の返上や減額の処分を行うことを決めました。
バルミューダによると、田中社長は株を購入した理由について「株を購入し、取締役会などで投資家目線で発言したかった」と話しているという。また、「誤って買い付けたもので、悪意はないと考えている」ともしています。田中社長は購入したバルミューダ株を現在も保有しており、購入株の規模は「開示していない」としている。
社外取締役とはいえ、決算発表や業績予想の修正発表のスケジュールは当然、存じ上げているはずですので、これは確実にインサイダー取引に当たるだろうと思います。
仮にも経営者である田中氏がこんな基本的なことを、本当に意識していなかったとしたら、かなりの問題だと言えるのではないでしょうか。
我々経理部門も含め、経営者や取締役会に属する人たちは、自社株の取引に関してはかなりの制限がかけられており、取引ができる期間もかなり限られた期間だけとなっています。
会社の業績がどうなるかをいち早く知ることができる部門ですから、これは当然です。いつも「この業績を発表したら株価がこう動くだろうなー」と考えながら決算を作っています。
社外とはいえ取締役も当然、インサイダー情報をいち早く知ることができる関係にあるわけですから、知らなかったというだけで済まされるわけがありません。
バルミューダといえば、おしゃれで実用的な高級家電で人気を博しておりますが、つい先日、訳のわからないスマホを高値で発売してしまう、迷走ぶりを見せていたところです。

正直、「この会社大丈夫か??」と思わせた矢先に、社外取締役の不祥事です。社外取締役とはいえ、このような人物が経営層に関わっているというだけでも、企業としてのイメージ、信用はガタ落ちです。悪意がないということですぐに処分を下さなかった点も、バルミューダのイメージを悪化させました。
これまで長年築き上げてきたバルミューダのメーカーとしての信頼は確かなものでしたが、一瞬にしてそれが瓦解されてしまいました。このような会社の株は、買わない方が吉だと私は感じました。