東京五輪の開幕が約1か月後に迫っているが、新型コロナウイルスの感染拡大が収束せず開催への異論が渦巻く中、公式グッズの売れ行きは厳しい。
なかには東京五輪の組織委から「売れ行きに関する話を外部に出さないように」などと“かん口令”を敷かれたメーカーも。「大量に売れ残ってゴミと化すことは覚悟しています」。業者からは悲痛な声が漏れる。
メーカーは小売価格の5〜7パーセントをロイヤリティーとして組織委員会に支払う仕組みだ。実際に売れた数ではなく、製造数に応じたロイヤリティーが生じる。さらに小売価格の2パーセントを、販売促進支援のための経費として支払う。
このようなロイヤリティの仕組みであるため、公式グッズの売り上げが芳しくないと、モロにメーカーや小売店にダメージを被ることとなり、大赤字も避けられません。
また、海外からの観客が見込めないことや、国内でもオリンピックへの世論の風当たりが強いことから、オリンピックを応援していると公言することができない層もいるようです。
マスクを購入した40代の男性の思いは複雑だ。
「選手たちを応援したいので、ランニングの時に使おうと買いました。ただ、電車だとか公共の場では着けないと思います。これだけ反対論が強い中で、五輪を応援しているってオープンにはしづらいし、もし医療従事者の方が見たらどう思うだろうかって考えてしまいます」
本当に応援したい気持ちで買ったのであれば、堂々とすれば良いと思いますが、その他大勢に賛成することを良しとする日本では、ますますオリンピックグッズの売れ行きが伸びる可能性は乏しいと言えるでしょう。
そもそも、オリンピックの公式キャラクターの名前も曖昧ですし、民衆のしらけ具合をよそに、クソダサいデザインなどが勝手に決まっていた様子を見ると、どうもいまいち盛り上がりに欠けるのは避けられません。
私も以前、都内某所の色んなキャラクターグッズを扱う店舗が集まっているところに彼女とデートで出かけました。その中にオリンピック公式グッズを取り扱うお店もあったのですが、そこだけはお客さんが入っておらず、店員さんだけが立ち尽くしていたので、なんだか切ない気持ちになりました。
もちろん、他のキャラクターグッズが目当てだったので、お店の前をスルーしたのですが、できるだけ目が合わないように避けて通ったことを覚えています。とても気まずかったです。
ただ、ここまで売れていないグッズだからこそ、もしかしたらオリンピックが閉幕した後で、レアグッズとして、転売ヤーによって値段が引き上げられる可能性も否定できません。ただ、それでもメーカーや小売店の利益になることはなく、お金儲けの道具に利用されるだけではあるのですが・・・
さて、昨今ではESD( 持続可能な開発のための教育)だの、SDGs(持続可能な開発目標)だの、企業の環境への取り組みが注目されています。そんな中で、このまま売れない公式グッズを大量に廃棄することは、これまたメーカーや小売店にとってもイメージの悪化となりマイナス面しかありません。
とはいえ、もうすでに仕入れてしまった公式グッズを返還することもできず、オリンピックに関わった全ての企業にとってこれほどまでにマイナスになることしかないというのは同情せざるを得ないです。
私が投資している企業にも、オリンピックの公式スポンサーがいますが、あまりお金にならなかったのは残念です。今回のオリンピックを失敗例として、仕切り直して次のオリンピックに活かして欲しいところです。
私はテレビがないのでオリンピックを観戦することもできませんが、別にテレビがあったところで見ようとも思えません。せめて視聴率だけでも取れれば良いですが、若者を中心にテレビ離れが進んでいる昨今、それもあまり期待できないでしょう。
残念ながら今回のオリンピックは、IOCだけが甘い汁を吸うことができた大会として幕を閉じそうですね。まあ、これを機にオリンピックの在り方を世界中に問うことができればそれもまたアリなのかもしれませんが・・・