「いきなり!ステーキ」を展開するペッパーフードサービスの2020年12月期の売上高は310億円(前期675億円)、営業赤字は40億円(前期0.7億円の赤字)、さらに最終赤字は39億円(前期27億円の赤字)と、非常に苦しい結果となりました。

新型コロナの影響もありますが、実際にはコロナが流行する前から過剰出店により同じ商圏で顧客を取り合う「自社競合」状態に陥り、店舗の収益性が悪化。相次ぐ値上げで顧客離れも招いており、虫の息状態でした。
東洋経済オンラインにて、ペッパーフードサービスの一ノ瀬社長が悔恨の念を語りました。
敗因を分析すると、「過剰出店」と「顧客優先から利益優先になったこと」が大きい。
出店数については、「イケイケどんどん」で出しすぎた。
2018年は年間200店強のペースで、1日5店舗出した日もあった。当時は、新店を出せば1日100万円の売り上げがあった。
だからこそ、業者は物件をどんどん斡旋してくれたし、銀行融資も存分に受けられた。
今なら絶対に出さないようなエリアにも出したが、案の定、そういう店からすぐダメになった。
ぜいたくな話だが、あのとき、私を止めてくれる人がいればよかったなと、今になって思う。
しかし、絶好調な頃の一ノ瀬社長はこんな感じでした。




この有様である
このような状態の社長に、一体誰が反対意見を投じることができるでしょうか。もし仮に反対するような勇敢な役員がいたとしても、話を聞かずに店舗展開を続けていたか、もしくは反対意見を言うような役員や社員のクビを切っていたに違いありません。
成功者の多くが、周りの反対意見を押し切って自分の意見を押し通した結果成功してきたこともありますので、もし反対していても聞かなかったという路線が有力でしょうか。どちらにせよ、絶好調の時には経営者は周りの忠告なんかは聞かないものなのです。
この期に及んで、周りの人間のせいにするあたり、やはり経営者の器とはとても思えませんね。早々に社長の座を譲った方が良いのではないかと思います。
まあ、結果が全てなので、ワンマンでも成功している経営者は少なくありませんが・・・間違った方向に流れてしまうと、一気に崩れ出すのがワンマン経営の悪い点です。
一方で米国では、ワンマン経営者と見られていても意外と周りに支えられ、しっかりと監視されているケースが多いです。例えば暴君イメージのあるアップル(AAPL)の創業者であるスティーブ・ジョブズ氏も、ワンマン経営者というイメージですが、実際には共同創業者のスティーブ・ウォズニアック氏の意見を取り入れたり、取締役会に一度CEOをクビになったりもしています。
経営が傾きかければ、取締役会が機能して、『無能なCEO』を挿げ替えることができるのが米国企業が長期的に成長を続けられる要因ではないでしょうか。
日本の取締役会など、所詮は社長の意見に従うだけの形式的なものとなってますから、状況が悪化してもなかなか抜け出せません。イエスマンしか上に残ることはできないですからね。
コロナの影響も相まって、同社の株価は株式分割でもしたのかな?と思えるほど株価が下落しています。

もしもペッパーフードサービスに投資がしたいというのであれば、無能な現在の社長が交代するというニュースが入って初めて、投資冥利も出てくるのではないかと思います。現状では近づくと怪我してしまいそうな投資先だと言えるでしょう。