日刊ゲンダイに掲載されているとあるコラムが話題となっている。
なぜかオリエンタルラジオの中田敦彦氏を例に出して、投資やマネーリテラシー教育を叩いているように見えるのだが、この記事自体が何を言いたいのか分からない滑稽な内容になっている。
あっちゃんの話は全く関係ないのだが、彼はYoutuberとしてタネ銭を稼ぎ、それを投資に回したために数億円単位の資産を有することになったのだろうと推測されます。
Youtuberでも有名人でもない我々個人投資家は、タネ銭を作る時点でアウトだと語っているが、果たしてそうだろうか。
「金融広報中央委員会」によると、個人の保有している金融資産の平均は1,436万円であり、これを作って初めて”個人投資家”だと筆者は主張しているが、それは違うだろと思います。
そもそもこれは全年代の平均であり、年代別で見ると、例えば20代であれば平均は292万円、30代で591万円となっている。40代になって初めて1,012万円と1,000万円台の大台に乗っかるのですから、若い間から少しずつコツコツ貯蓄や投資に力を入れることに意味がないとは思えません。
筆者は、50万円を投資で100万円にしたところで大した贅沢はできないと主張しているが、これも全くズレた論点です。
投資で増やした資産を取り崩して使い始めるのは、できれば定年後など、収入が途切れたタイミングの方が良いでしょう。それまでは基本的に収入の一部を投資に回していくのがベストです。
筆者が何才ぐらいを想定してこのような発言をしたのか分からないが、50万円のタネ銭を作るのに、1年もあれば十分すぎることから、新卒社員でも50万円を投資に回すことができるはずです。それを100万円になったからと言って、すぐに売り払って贅沢しようというのは、そもそも投資の根本的な考えが間違っていると言えるでしょう。
100万円になったその資産をさらに保有し続け、運用し続けることで、将来、500万円、1,000万円と資産額が増加していくタネになるわけです。
金融庁が推進しているマネーリテラシーを高めることも、こういう長期投資を当然として、全ての国民が自己責任のもとで投資に力を入れることを推奨しているからに他なりません。
金融庁はホームページで投資の基本について、「投資のリスクはいわゆる〈危険〉や〈損失〉のことではなく、〈可能性〉のこと」と説明している。例えば、株価変動リスクは「株の価格が上下する可能性のこと」といった具合だ。リスクを可能性に置き換えるのはどこかで聞いたことがある気がするが…(以下略)
これも筆者の知識不足が顕著に現れている内容だと思います。『リスクを可能性に置き換える』とあるが、そもそも『リスク』という言葉が『将来の可能性』という意味の英単語なんですよね。
日本語訳されると、『危険』とか『恐れ』と訳されるので、日本人は誤解をしがちなのですが、もともとは『将来危険や損失を被る可能性』という意味の英単語が”risk”なのです。
筆者が説明している高額な絵画を将来値上がりする〈可能性〉といって売りつける「絵画商法」は、本当に値上がりする可能性もあるので、ハイリスクハイリターンな投資とも取れるし、日用品などを無料で配って「もらわないと損」という心理にさせ、最終的に言葉巧みに高額商品を売りつける催眠商法はただのマーケティングか詐欺です。リスクを否定するにはあまりに薄っぺらい反論だと思います。
さらには、『ラクして1億円儲けられるのはいいが、それが果たしていい世の中と言えるのか。』と締められているが、もしかして筆者は投資でラクに1億円を儲けることができると思っているのでしょうか。
それこそリスクがあるので、利益を乗せられる時期もあれば、資産が大きく目減りする時期も当然訪れます。そうして評価額が上下しながら成長していくのが株式投資の世界なのです。
市場参加者が長期的に株を保有し続けることができないからこそ、投資で儲けるのは難しく、時間のかかる行為なのです。
誰でも投資さえすればラクして1億円儲けられると考えているのなら、「冗談じゃない!」「ふざけるな!」と投資家は内心思うのではないでしょうか。
誰でもラクして1億円儲けられると思うなら、投資を始めてみてはいかがでしょうか。50万円から初めても、1億円の資産に到達することはできますよ。ただし、40年程度、株を売らずにコツコツと買い続けることが原則ですが。
こんな記事を書いているから、彼らは貧しいままなんだろうなと私はそう感じました。