大手電機メーカーの「東芝」が、イギリスに本拠を置く投資ファンド「CVCキャピタル・パートナーズ」などから買収の提案を受けていることが明らかになりました。
東芝は本日、取引が停止されており、その後はファンドによる買収のウワサが現実味を帯び、ストップ高の気配となり、ほとんど取引されずに終了しました。

CVCキャピタル・パートナーズなどによる買収額は合意に到れば2兆円を超える額になると見られ、さらに株式を非公開化する見込みだということで、もし実現すれば、東芝がイギリス傘下の企業になるということです。
東芝については、まだ記憶にも新しいですが、多額の投資ミスによる大損失で一時は上場廃止寸前に追い込まれるほどになりました。かつての名門企業がここまで追い込まれたのはかなりショックな出来事だったのではないでしょうか。
しかし、日本の宝とも言える東芝ほどの企業が上場廃止となっては示しがつかないということもあってか、どうにかこうにかやり繰りをして、今年1月に、東証一部上場企業に返り咲いていたところだったのです。
そこまでしてなんとか上場廃止を逃れた名門・東芝が、今度はイギリスのファンドの傘下になろうとしているのですから、世の中の変化というのは恐ろしいものですね。
日本人が「投資はギャンブル!」「リスクを負うことはできない!」とか言ってる間に、投資に詳しい米国やイギリス、他のアジアの国々に日本企業が買収され、気付けば日本人は彼らのために働かされる奴隷になっているというのが今の日本の現状なのです。
同じく日本の名門メーカーだったシャープは、台湾の鴻海精密工業の傘下に入りました。東芝も、既に”白モノ家電”事業は2016年に中国の美的集団に買収されました。せっかく守った残りの東芝までイギリスに持っていかれるとなれば、日本企業として誇れる企業はどんどん減っていくだろうなと思います。
それもこれも、日本人が日本企業に投資をせず、日本製品を買わなくなったから仕方のないことなんです。日本の貧困層は中国や他のアジアの激安製品を好みますし、中流以上の層は欧米や北欧などの高くてもハイセンスな製品を好みます。
日本の製品はどんどん売れなくなっています。先日、上場廃止の見込みとなったオンキヨーも、昭和時代には名門と呼ばれたメーカーの一つでした。

「日本の家電はすごい!」と思っているお年寄りが今もいるかと思いますが、それはもう昔の話で、今の日本の技術力と価格交渉力では、大きく成長する未来は見込めません。
「そんなことはない、ウチではシャープのテレビを使ってる」「東芝の冷蔵庫を使ってる」という人もいるかもしれませんが、前述の通り、シャープは台湾企業の、東芝の白モノ家電は中国企業の物なんですよね。
『日本株は割安だ』という声もよく聞きますが、果たして本当でしょうか?世界中の株式市場と比べてPERが低いから割安?もしかしたら成長性が低いからPERが低い状態で放置されているだけかもしれませんよ?
世界の経済成長率の見込みと比べても、やはり日本の成長率は著しく低く、これからも “割安”で放置されている名門日本企業は、徐々に外資に買われていく運命なんでしょうね。

我々日本人も、無理して日本株を買う必要は無いと思います。だって成長しない国の成長しない企業の株を買っても儲からないと思いませんか?
どうせ投資をするなら、米国や中国、インドなどのように着実に成長を続けている国の有望な企業の方が良いと思いませんか?
もちろん、日本株市場にも素晴らしい銘柄はあるでしょうし、逆に成長性の高い国にも汚点はあります。
しかし、国の株式市場全体で見ると、やっぱり日本株よりも成長性の高い国への投資が過去数十年に渡って報われ続けていると思います。
投資先を選ぶ際は、慎重に考えた方が良いのでは無いかと私は思います。