私、あのー、実は先日ね。彼女の家に遊びに行ったんですよ。先週末はこの季節に似合わない、嵐のような雨でね。「ざぁー、ざぁー」って外はうるさいもんですから、なんか「やだなー、やだなー」って思いまして。彼女の自宅でゆっくりと過ごそうっていう話になったんです。
でね。実は私の彼女がホラー映画が大好きで。私は「そんなものはイヤだ」っていつも断るから、一緒に映画を観に行ったりはしたことがなかったんですけど。その日はなんとなーく、「2人で観れば怖くないか・・・」って思ったので、ネットフリックスで一緒にホラー映画を観ることにしたんですね。
映画を観るためにちょっとだけ我慢して、近所のスーパーに買い込みに行ったんですね。普段は週末は賑やかなスーパーなんですけど、雨のせいか、がらーんとしていてなんか「やだなー、寂しいなー」って思ったんですよ。長居するのもイヤだなと思ったからね。ポテトチップスだけ買って帰ったんですね。
で、いざ家に帰ると、なんだか違和感を覚えたんです。リビングから音がする。「何だろうなー、なんでかなー」と思って、ソーっと、ドアを開けたんですね。
『キィー…バタン!』
「うわっ!びっくりした!!!」
家に帰るとね。彼女がもう先に映画を見始めていたんですね。
私は「ひどいな〜、ひどいな〜」って思ったんですけどね。まあ映画の導入部分なんで見逃しても問題ないだろうと思って、そのままポテトチップスの袋を開けて、映画鑑賞をし始めたんですよね。
雨はますます勢いが強くなって、「ざぁ〜、ざぁ〜」と窓に叩きつける音が聞こえる。映画もどんどん物語が進んでいって恐怖心を煽るシーンが出てくる。
映画も中盤に差し掛かった頃、突然『ガサッ、ガサガサッ…』ってね。音が響く。
私は「あれー…おかしいな〜、変だな〜、変だな〜」って覗き込んだんです…
そしたらそこにはね。あるはずの物がなくなってたんです。
私、ゾオーっと血の気が引いてしまいました。
まだ映画も中盤なのにね。さっき買ってきたばかりのポテトチップスが無くなってたんです。
私、「変だな〜、変だな〜」って。いくら彼女と2人で食べているとは言え、映画の中盤で、1時間もしないうちにポテトチップスの袋が空になるなんて…昔は、1袋食べるのに、1回では食べきれなかったサイズなのにな〜って思ってたんです。
昼間とは言え、外は雨で薄暗く、ホラー映画が流れていることもあって、少し敏感になりました。『怖いな〜、他に誰かいるのかな〜?』なんて思ったんですが、そこはマンションの高層階。オートロックも万全で私と彼女の2人きりの世界です。
ふと、中身が無くなったポテトチップスの袋を見るとね。内容量が『60g』と記載されていたんです。
私が幼かった頃は、ポテトチップスの内容量ってもっと多かったはずです。調べてみると、近いサイズでは、私が生まれた頃で70g、私が幼少期の頃にはポテトチップスは65gだったのですが、スーパーなどでは今よりも低価格で販売されていたことがわかりました。もう一つ上のサイズでも安かったので、当時はもう一つ大きいサイズを買っていたんですね。そりゃ子供だと食べ切るのが困難なサイズなわけです。
カルビーのポテトチップスは、発売当初は90gで100円だったと言います。つまり、同じ価格帯のポテトチップスの容量は発売当初から比べれば、3分の2にまで減少したことが分かります。日本では長年、デフレデフレと騒がれており、価格を据え置きにしていますが、徐々に商品の内容量は減少し、いわゆる『サイレントインフレ』というのが加速しています。
しかし、これは仕方のないことなのかもしれません。世界的に見れば経済は成長をしており、その結果インフレが進んでいます。グローバリズムが進んだ21世紀においては、価格をいつまでも据え置きにしていては、お菓子メーカーも利益を上げることなんてできなくなるのは当然です。
気づかない間に、徐々に商品は小さくなり、価格が一定でも満足感がなくなっているのは気のせいではないのです。
いくら貯金をしていても、あなたの現金の”購買力”は徐々に減少しています。食べても食べても、なぜか『満足できないな〜、やだな〜』と感じている人はいらっしゃいませんか?実はその商品、昔と比べれば、かなり小さくなっているのかもしれませんよ…
ね?とても怖い話だと思いませんか・・・?