日経新聞によると今月17日、中国のアリババ集団が、電子商取引(EC)の利用者数で首位から陥落したことが明らかになりました。

2020年12月末時点で新興の拼多多(ピンドゥオドゥオ)が約900万人差をつけてアリババを抜いたとのことで、アリババが業界トップに上り詰めてから首位を明け渡すのは初めての事態だ。
取扱高では最大手のままだが、黎明(れいめい)期から同市場をけん引してきたアリババを新興勢が追い上げる構図が鮮明となっているということだ。
同社の20年12月末のECの利用者数は7億8800万人と、1年前より3割強と大幅に増加しました。一方でアリババの同月末の利用者数は7億7900万人となりました。
それでも取引高ではアリババが勝っているというのは、単純にピンドゥオドゥオのビジネスモデルにあると言える。2015年に創業したピンドゥオドゥオは格安商品を武器に急成長を続けており、アリババが手薄だった地方都市や農村部でシェアを広げ、わずか5年で利用者数で中国トップに上り詰めたということです。
そもそも中国は急激な経済成長を遂げているとは言え、中国の西側はまだまだ発展途上であり貧困にあえぐ人々が多く暮らしているのが事実です。低価格の商品はそれだけで魅力的であり、ピンドゥオドゥオは、アリババと中国の発展に取り残された人々によって愛用される事になったのです。
同社の株価はNY証券取引所に上場してから凄まじい勢いで成長を遂げているのである。

時代がどのように移っても、低価格であるというのはそれだけで魅力があり、貧しい人々でも買い物を楽しめるプラットフォームには人がよってくるものなのだということがわかります。もちろん、価格だけで勝負をしていては、同業他社によって競争される可能性はありますが、まだこれから成長を遂げるこれらの企業は面白いものだと感じます。
また、コロナによる経済状況の悪化により、節約志向が高まっていることも相まって、都市部でもアリババよりもピンドゥオドゥオが選ばれるケースも増えているということです。
さらにアリババは、中国共産党によってマークされ始めており、かつてのように安泰とは言えないというのも、アリババの成長に陰りを見せているのです。
小売業者がアマゾン・ドット・コムや、アリババに淘汰されたように、次は彼らが淘汰される側に回っているのかもしれません。
同じように、『wish』や『QOO10』といった、低価格帯が魅力的なECサイトも増えてきており、インターネット通販の世界は数年で大きく変化しているのです。アリババも、うかうかしてはいられない状況にあるということがわかります。
取引高でピンドゥオドゥオがアリババを抜くにはまだまだ時間がかかるでしょうが、景気が悪化する傾向にある現状では、アリババよりも成長していくのは格安サイトを運営しているピンドゥオドゥオなのかもしれませんね。
しかし、ピンドゥオドゥオは昨日、創業者の黄 崢氏が退任することも発表しており、急成長が鈍化しかねないとの懸念も出てきております。

アリババとピンドゥオドゥオ、5年後、10年後の中国市場では、どちらがトップとなっているのか、それとも他の勢力がさらに成長を遂げるのか。どうなるかはわかりませんが、中国のハイテク企業に投資をしたいというのであれば、どちらも面白い企業なのかもしれませんね。