日本銀行が17日発表した2020年10~12月の資金循環統計(速報)によると、昨年12月末時点で個人(家計部門)が保有する現金が、初めて100兆円を突破したということだ。

前年同期と比べ、5・2%増の101兆円と過去最高となったということで、コロナ禍による貯蓄思考の高まりや、最近の金融機関の不祥事が続いた結果、高齢者を中心に、自宅で現金を保管する「タンス預金」を増やす傾向が強まっている模様です。
家計部門の「現金・預金」は4・8%増の1,056兆円となり、預金は4・8%増の955兆円となったということだ。
昨年、政府は1人あたり一律10万円の定額給付金を支給したが、その一部が貯蓄に回った可能性があるとしているが、本当に貯金をすることができるという人は定額給付金の有無など関係なく貯金が増えていただろうと推定されます。
しかし、貯金がどんどん増えているというのもまた事実。株式なども含めた家計部門の金融資産残高は、2・9%増の1,948兆円と、過去最高を更新したものの、依然として、金融資産のうち、「現金・預金」が54・2%と半分以上を占めた結果となりました。
預貯金が半数以上を占めているというのはあまり喜ばしいことではありませんが、特にタンス貯金という自宅の中で管理されているお金が増えるというのは、経済的に見ればマイナスでしかありません。
経済に流れることなく、キャッシュフローを生み出さず、完全に死んでしまっている”タンス預金”が良いものではないということはお分かりいただけるのではないでしょうか。
日本では個人資産の13%程度しか株式に投資されておらず、日本人がいかに投資を軽んじているかというのがよく分かるかと思います。
最近は若者を中心に、投資を始める人たちが増えてきたように感じますが、それでも若者はそれほどお金を持っていないという事実もありますので、預金のほとんどが高齢者の手元に残ってしまっているのは本当に残念です。
とは言え、高齢者に投資を勧めるわけにもいきません。平均寿命が20年を切っている状況では、投資をしても損をする可能性とリターンを得る可能性、どちらにも転ぶと思います。しかし、遺産として後世に遺すためのお金と考えるならば、投資をして金融資産に投じるのも悪くはないのかなとも感じます。
無理に投資をしろと言うわけではありませんが、それでも現預金がキャッシュフローを生み出さない状態で半分以上が眠っているのは残念です。
1,000兆円というお金がほとんど利息もつかずに、ただただ金庫で眠っており、その中でも100兆円以上がタンスで眠っている訳ですから、日本の経済は成長しないのも当然ですよね。
日本がこれから経済的に成長をするには、国民一人一人が、世界中に投資をして『お金を使ってお金を稼ぐ』という資本主義の道理を学ぶ必要があると私は思います。
日本人のように、大人しく多額の現金を金庫の中で眠らせているようでは、世界中から取り残されている現状がますます悪化していくハメになると思います。
世界に向けて、日本人の1,000兆円の力、タンス預金の100兆円の力を見せつける必要があるのではないかと私は思う次第です。