ブルームバーグによると、世界有数の資産運用会社・ブラックロックは、伝統的な資金の逃避先である金を今保有するメリットについて二重の警告を発したとのことだ。

ブラックロックの「グローバル・アロケーション・ファンド」のポートフォリオマネジャー、ラス・ケステリッチ氏によれば、金は株など他の資産の動きやインフレに対するヘッジとして効果が薄れていることに加え、景気回復のペースが加速した場合に逆風に直面するとし、金は「株式に対するヘッジとして役に立たなくなっている」と主張しました。
コロナ禍からの景気回復に弾みがつき米国債利回りが上昇する中で、金相場は今年に入って8%を超える下落を見せている。最近は、仮想通貨をはじめとした金融資産が増加したことで、金が株式の下落に耐えうる逃げ道として選ばれる機会が減少している模様です。
しかし、これは何も驚くような話ではありません。そもそも金が株式の下落に耐えるための逃げ道として活用されたからと言って、金に投資をするのはあまり賢い選択肢だとは言えないでしょう。
そもそも金には『換金性』があるだけで、成長性がないのですから、持っているだけで価値が向上していくことはありません。
有名だと思いますが、シーゲル教授の『株式投資の未来』から拝借したグラフを見てください。

1801年〜2001年までの200年間において、当時の1ドルをそれぞれの金融資産に投資をした場合の200年後の価値について表したグラフです。
1801年時点の1ドル分の金は、2001年時点において、1ドル95セントとなりました。2倍弱になっているとは言え、預金を持ち続けていた場合よりは少しはヘッジになったと言えるかもしれません。
しかしそれに対して、株式は75万5,163ドルにまで成長しているという事実があります。しかも、株式は200年間というほとんどの期間で、他の金融商品の追随を許してきませんでした。
確かに金利の上昇は、株式投資にとってマイナスとなり得ます。しかし、そのマイナスとなっている期間に、金や他のアセットに資金を移動させていると、せっかくの株が安く買えるチャンスを棒に振ってしまう可能性が高まります。
株式投資は、コツコツと続けるだけで、インフレや一時的な金利の上昇などのリスクを全て包括しながら資産を拡大させていくことができる素晴らしいシステムなのだと思います。
もちろん、買うタイミングと売るタイミングによっては、損をしないという訳ではありませんが、タイミングを測った投資方法ではなく、ただ単に株を持ち続けるという手法においては、株式投資が最も資産を拡大させることができた手法なのだと言えるでしょう。
つまり、本質的な意味では、金が株式のヘッジ対象として機能していた期間など一度もなく、一時的に株から金に資金が流出しているタイミングこそ、まさに株式投資の一大チャンスだったのではないかと私は思います。株式投資だけで資産を築くことは十分に可能だということを私は身をもって体感しています。わざわざ金を買う必要はないのではないでしょうか。