昨日3月11日は、2011年に東日本大震災が発生した日で、昨日で震災から10年という節目の年になりました。
当時、私は大学の春休みということで、関西に帰省しており、当時の彼女と海外旅行に行くための準備をしていたことを覚えています。しかし、東日本大震災の揺れは、関西でもかなりの大きさでしたので、ついに『南海地震が来たのか・・・!』と勘違いするほどでした。
その後、テレビから流れる衝撃的な映像は本当に映画か何かかと見間違えるほどで、大変ショックを受けた記憶があります。
マグニチュード9.0という観測史上最大規模の地震は、大変な爪痕を残し、いまだに震災から復興していない地域があり、避難している人がいらっしゃるということです。
ですが、震災直後から日本人は団結して復興に励み、力を合わせて未曾有の大災害から立ち直ることができました。
震災が発生したのは、金曜日の14時46分。今でも覚えていますが、ちょうど日本株市場が週末最後の取引を終えようとしていた時間帯でした。
この震災により、原発が停止し、東京電力が矢面に立たされて責め立てられるニュースは当時何度も流れているのを見かけました。ニュースで現状把握をして、大変な騒ぎとなっているのを確認し、東京電力株のチャートを見たのは、確かちょうど16時頃だったと覚えています。
東京電力の当時の株価は2,000円台をウロウロしていました。当時は高配当株と呼ばれるような銘柄が日本株では少なく、また、インフラ系である東京電力の株は債券かのように”安全資産”として投資家に人気の銘柄でした。
しかし、”安心の債券”扱いを受けているインフラ株は常に割高だと言える水準で、まだ投資を初めて1年も経っていない私から見ても、決して”買いではない”銘柄だと考えていました。
元々の割高感に加えて、未曾有の大災害による大規模な事故によって、東京電力の株価はご存知の通り大暴落。わずか3ヶ月ほどで安全資産と呼ばれた東京電力の株価は90%以上の大暴落を記録してしまいました。

10年前の震災前の水準で東京電力株に投資をしてしまった人は、残念ながら10年経った今でも、回復の目処がたっておらず、同社への投資は失敗だったと言わざるを得ないでしょう。
また、暴落後に200円割れの水準で東京電力株へ投資することができた人たちは、数年でかなりの利益を上げることができたタイミングもあったでしょうが、10年経った今の段階では株価が2倍程度に戻ったところだということで、同期間の日経平均株価に連動するインデックス投資でもしておいた方が無難だったと言えるのではないでしょうか。
今挙げた例は、あくまで結果論であり、上手いタイミングを見計って投資をすることがいかに難しいかというのがよく分かります。
ただ、いくら安心して投資ができるというインフラ系の債券株だとしても、やはり買値はとても重要で、『投資する人みんなが、安心して買えている』状態の株価では、どれだけ安く見えるタイミングで投資ができたとしても、なかなかリターンを得ることは難しかったのではないかと思います。
また、わざわざ成長性のない企業へ投資をするのは、あまりオススメできる投資方法ではないということも言えるでしょう。成長性が少ない、安定した銘柄だとしても、例えば長年増配をしていますというような着実な企業であれば、良いと思うのですが、東京電力は震災後に無配に転落した時点で、投資先としてやはり手放すべき銘柄だったのではないかと思います。
過去10年間を見返せば、東京電力への投資は決して良い投資だったとは言えないでしょう。この期間、他の株やありとあらゆるアセットがかなり上昇し続けてきたことから見ても、明らかな機会損失であったことは否めません。
投資するなら、リスクもしっかりと考えた上で、一つの銘柄に惚れ込むことがないように気をつけなければならないなと考えさせられる事例だったと思います。