WHOが発表した2020年版の世界保健統計(World Health Statistics)によると、平均寿命が最も長い国は日本で84.2歳となっている。 2位はスイスで83.3歳。2位と1年ほどの差をつけて、世界一の長寿大国となっている日本ですが、長寿が決して歓迎されないという実態があるのは実に悲しいことです。
“貧困老人”という言葉が数年前から社会問題として提起されている。お年寄りがお金を持っているから経済が回らないという声が聞こえてくる一方で、貧困によって、後期高齢者となってからも日雇いの仕事をすることを余儀なくされたり、年金だけでは生活できず、子供世代に迷惑をかけてしまう老人が徐々に増えているということです。
高齢者の貯蓄額の平均は1,978万円と言われているが、”貯蓄ゼロ”の世帯は全体の3割ほどを占めるといわれていますから、年を重ねるほどに格差が大きくなることが良く分かりますよね。
では、なぜ社会問題となるほどに”貧困老人”は生まれてしまうのでしょう。幻冬者ゴールドオンラインにて、興味深い記事を発見しました。

長い老後生活を安心して送るには、資産形成が不可欠ですが、長期的に考えれば考えるほど色んなリスクを孕んでいると言えるでしょう。インフレリスクやカントリーリスク、為替リスクなど、投資をしている人なら意識しているようなものもあれば、人によっては”長生き”そのものがリスクだと言うことも考えられるでしょう。
リスクとはそもそも”将来の不確実性”を表しますから、長生きは生まれた時から人間が抱えているリスクなのですが、長く生きれば生きるほど、そのリスクによって生活が苦しくなる可能性が高まるのです。本来、長生きは喜ばれるべきことですが、長寿すらも自らを苦しめる原因となり得るのです。
個人投資家の方々でも、長期投資を前提としておられますが、資産を築いた後の、取り崩しについてはまだよく考えていないと言う人も多いのでは無いでしょうか。私自身もまだ30歳ということもあり、そこまで真剣に資産の取り崩しを考えているわけではありません。しかし、定年退職後の資産の引き出し局面において、亡くなる前に資産が底をついてしまう長生きリスクは、特に、寿命が延びている日本人にとっては次第に大きくなっているということを意識しなければなりません。
例えば、今の平均寿命は84.2歳ですが、84歳前後で自分の資産を使い切るという考えで現役時代から過ごしていると、いざ85歳以上まで生きてしまった時に、その後の人生で貧困化してしまう可能性があるということです。年金は貰えるでしょうが、そもそも年金だけで十分な生活ができるのであれば、将来に向けた長期投資をしようなどという人はいないはずですからね。
平均はあくまで平均ですから、4人に1人は、男性なら91歳・女性なら95歳まで生存しているというデータがあるようです。つまり、我々は今から95歳までは生きるであろうという前提のもとで資産形成計画を立てて行かなければならないわけです。
元記事に紹介されているような、退職後の資産運用も、退職時点で2,000万円程度の資金があることを前提としているから考えられることであり、多くの人たちが貯金ゼロで老後を迎えてしまったことを考えると、やはり少しでも若い今から資産運用をして、定年退職を迎えることにはもっと余裕のある資金繰りができるようにしておいた方が身のためであると言えるのではないでしょうか。
どうせ長生きしないからと一蹴するのは簡単ですが、意外とそういうことを言っている人ほど長生きしてしまうのが世の常です。実際に70歳、80歳になってから資産運用をしようとしても、なかなか上手くいくことはありませんから、若年層からの資産運用が必要だということを私は改めて強く主張したいと思います。