朝日新聞の報道によると、20年3月期に33億円の債務超過に陥り、経営再建中のオンキヨーホームエンターテイメント(旧オンキヨー)が12日発表した2020年4~12月期決算は、純損益が33億円の赤字だったということです。

オンキヨーホームエンターテイメントの株価は現在、14円。1単元を投資するのに1,400円というリーズナブルな株価になっている。

しかし、1単元でも保有していると、議決権を行使することができますよね。同社は議決権を行使することで500円分のクオカードが貰えるということで、”隠れ高配当銘柄”として優待投資が大好きな投資家たちには静かに支持されている銘柄でした。配当金とは違いますが、利回り35%というのは驚異的ですよね。
しかし、同社の業績はコロナに関係なく、赤字が何年にも渡って、経常的に続いているのです。まともに投資することはできませんよね。日本企業には、「継続企業の前提に関する注記(ゴーイングコンサーン)(GC注記)」というものがあり、同社は数年間ずっと、GC注記がついたままの企業でした。
以前も記事にあげたことがあるのですが、昨年9月に株価を見たときは、30円だったオンキヨーの株価は半年も経たずに半値以下に落ちているのです。

というか、長期的に見れば、同社の株価はピーク時から100分の1にまで落ちてしまっているのです。

GC注記が付いている企業が、いずれは上場廃止する可能性が高いのは事実であり、GC注記が付いたからと言って必ず上場廃止するわけでは無いですが、上場廃止した企業はほとんどがGC注記が付いていたというデータがあります。
まだ確定では無いですが、あと3ヶ月ほど債務超過が続けば上場廃止の条件を満たしてしまいますから、仮に上場廃止となれば、持ち株は全く価値がなくなります。売り急いでもマネーゲーム目当ての人達が株価1円で買うかもしれないという程度でしょう。
それ以前にいくら少額とは言え、昨年に9月頃に3,000円で投資した株価がすでに1,400円になっている時点で含み損は1,600円になりますから、いくらクオカードを貰ったところで損するのは高配当・高利回り優待銘柄の損失リスクの大きさがわかります。
同社のIRを見返してみると重要な技術者を早期退職させたことで、製品開発力も無くなり、株で増資することで寿命を伸ばしているだけに見えます。2019年3月期まではトーマツが担当していた監査を、2020年期から監査法人が変わっているというのも、危険な企業の兆候だと思います。
どういう企業に投資するかどうかはそれぞれ、投資家ごとに考えがあるかと思いますが、高配当だったり優待目当てだけの銘柄に投資をしていると、損失を被る可能性がかなり高いと言えるのではないでしょうか。
リスクが高いということは、損失を被る可能性が高いということなので、そんなことは理解して投資しているという人なら良いのですが、クオカードが欲しいという理由だけで投資してしまった場合、投資した金額を回収するまでに投資金額がゼロになる可能性が、他の企業よりも高いということが分かります。
債務超過で上場廃止というのは日本の企業特有で、米国では債務超過でも上場廃止にはなりません。もちろん、マクドナルド(MCD)やスターバックス(STBX)のように優良企業だからこそ債務超過でも許されている面もありますけどね。
ただ、業績が安定して悪く、延命治療だけに尽力しているような企業へ投資するのは、賢明な判断とは言えないでしょう。同社への投資はあと3ヶ月ほどでゼロになってしまう可能性があります。クオカード目当てでの投資はできるだけやめておきましょうね。