世界中で今、逆風が吹いているのが銀行業です。コロナショックによる大規模な金融緩和によるカネ余りと、低金利の恒久化によって日本のみならず世界中で銀行株が悲観されています。米国では今年の初め、上下院とも民主党が支配する「ブルーウエーブ」となり、バイデン大統領の政策の実現可能性が高まったことで、国債増発の思惑から米長期金利は急上昇しました。しかし、いまだ米国債10年ものの利回りが1.167%とそれほど高金利とは言えないことは言うまでもありません。

日本は米国よりもさらに金利が低い状態が続いており、マイナス金利が普通というような状況も続いていました。ですから今の日本の銀行は本当に生き残りのために必死なんです。
しかし、旧態依然とした銀行は、お年寄り天国ですから、まだまだ昭和を感じさせる業務や慣習も多いみたいです。日経新聞に掲載されていた記事によると、山形銀行は今でも『フロッピーディスク』を利用していると言うこと。

私でも幼い頃にギリギリ目にしたことがある程度のフロッピーディスクは、我々よりも下の20代世代にはすでに「何これ?」と言われてしまってもおかしくない代物なのですが、山形ではいまだに現役だったと言うことがわかりました。
フロッピーディスクの雄だったソニーが国内販売を止めて10年。山形市の山形銀行事務センターには、今も多い日で1日400枚が県内各地から郵送されてくるとのこと。
利用するのは自治体や中小事業者など「現状維持」を望む約1000の取引先で山形市幹部は「最も安価で合理的」と強調する。しかし、フロッピーディスクの利用方法としては、保存されているリストを更新するだけだと言うことだ。
ただ銀行側にすれば老朽化したFDの継続利用は「コストがかかるだけ」。読み取りに担当者を配置する必要がある上、返送の手間も生じるため、ついに今年の3月末でフロッピーディスクの利用を停止することを決断したと言うニュースです。
「いや、遅すぎでしょ」
と言う印象しか持たなかったのですが、皆さんはどうお考えでしょうか。時代は令和に変わり、10年前にフロッピーディスクの国内販売を停止した時点でもすでに利用者がほとんどいない、過去の遺作となっていたフロッピーをいまだに利用していたことに驚きです。そして何より、市の幹部のようなこれもまたお年寄りたちが「最も安価で合理的」だと主張しているのも闇が深いです。
リストの保存くらいであれば今の時代で考えればクラウドサービスなどを活用するか、最悪Excelで管理してメールなどで送信すれば、より安価で合理的な業務ができるはずだと思います。
今更フロッピーディスクなんて、逆にセキュリティ面は万全かもしれませんがね。仮に顧客情報が入ったフロッピーディスクが流出しても、データを読み込むことができないですからね。
ただ、クラウドサービスもセキュリティ面は強固であり、保存できるデータの容量もフロッピーを遥かに超えるでしょう。Excelでもセキュリティに配慮することは可能ですし、顧客がメールやパソコンを活用できないからと言って、それに合わせて古くさいことを続けていてはさらに成長の足枷になってしまいます。そもそも地銀は、今や主流のインターネットバンキングを広める気が無いのか?と言う印象を受けてしまいますよね。
しかも、日経新聞の過去の記事を見てみると、フロッピーディスクを利用していたのが山形銀行だけでなく、いくつかの地銀で最近まで取り扱われているのだと言うことなのです。

本当に、こんな業務に足を引っ張られていては地銀がいくらまとまって、危機を乗り越えようとしても、そりゃ成長しないよなと言うことが一目でわかります。
高度経済成長期からバブル崩壊までの社会を支えてきたお年寄り世代も、今や”老害化”しているのが現状です。時代の変化についてくることを拒否し、自分たちに合わせろとコスト度外視で無理難題を押し付けてくるのです。
これでは銀行は低金利だけでなく、愚鈍な顧客からも足を引っ張られる状態なのです。フロッピーディスクだけでなく、ファックスなどもいまだに利用を強制してくる業界もありますよね。IT業界ですら、データで送ってこいって言ってるのに、いまだに紙でしか送付してこない顧客もいますよ。彼らに合わせて、我々はリスクを取ってコロナの中を出社しなくてはならないのですから、やってられないです。
フロッピーディスクができた時代には、画期的な技術だったのかもしれませんが、時代の変化に合わせて、主流に乗っていかないと、業務の効率化なんてとてもじゃないですが無理だと思います。個人だろうが公共機関だろうが、時代に合わせてアップデートしていくくらいの覚悟がなければ、国全体の成長の足を引っ張ることになるのです。もっと早い段階でフロッピーディスクによる無駄な作業を業務対象外としていれば、より生産性の高い業務に人員を割いたり、余計な人員を雇用する必要がなかったでしょうから、銀行の利益率が上がっていたかもしれないと思うと、本当に残念です。
最近は、両替するにも高額の手数料が求められる時代となりました。

しかし、銀行のサービスを悪化させているのは、いまだに時代に取り残された”老害”たちのせいなのかもしれません。