かつてのNYダウ採用銘柄の最古参だった石油会社大手のエクソン・モービル(XOM)が今年に入ってすでに株価が20%ほどの上昇を見せるという好調さを見せつけています。

このリターンは、先日の好決算で改めて見直された、『GAFAM』の一角、アルファベット(GOOGL)に並ぶ勢いで、昨日の時点ではマイクロソフト(MSFT)やアップル(AAPL)、アマゾン・ドット・コム(AMZN)の年初来のリターンをも上回っておりました。フェイスブック(FB)に至っては年初来のパフォーマンスがマイナスとなっており、アルファベットとは差がつけられたように感じます。
GAFAMはさておき、エクソン・モービルの株価が好調なのは、アフターコロナへの期待感からなのでしょう。最近はいわゆるバリュー株にも資金が戻ってきており、堅調な株価の推移を見せてくれています。
エクソン・モービルが40年ぶりに通期での赤字を出してしまったことなんて関係ないんです。だって、評価損による一時的な費用の増加ですからね。それにシェブロン(CVX)との統合案も出ています。実現可能性は分かりませんが。

本当に株価と業績なんて連動はしないものだなというのが分かります。好決算でも期待に応えられなければ叩き売られますし、決算が悪くても、改善の余地があったり、これから環境が変われば需要があると見れば上がるのは当然でしょうね。
私がエクソン・モービルを手放したのは昨年の8月頃。まだ底値に達する前のエクソン・モービル株を40ドル程度で手放しました。

私もアフターコロナにはエクソン・モービルの需要は高まり、株価が回復してくるだろうとは思いましたが、同社株に投資した頃から決めていた、『NYダウからの除外』という項目に当てはまったために手放すことを決意しました。
今でも株価が50ドル前後に戻ってきましたが、あの時手放したことは一切後悔はありません。実際、私のエクソン・モービル株の取得単価は80ドルを超えていましたから、これだけ株価が戻っても含み損だったことには変わらないですからね。
しかし、エクソン・モービル株で学んだことは、高配当株ほどタイミングが難しいのだということです。いくら高配当株だからと言って、エクソン・モービルクラスの企業の配当利回りが3〜4%台の頃に買ってしまっては、リターンは限定されるというのが理解できますよね。
配当利回りが下がっているということはそれだけ投資資金が集まっているわけで、私が買ったのは同社の株価が100ドルからズルズルと下がり、70ドル台から再び80ドル台に戻ってきた頃だったのですが、エクソン・モービルの株価はやはり原油価格に大きく左右されますから、ここから株価が上昇するか下落するかは丁半バクチのようなものだったように今となっては思います。
しかも、かなり分の悪いギャンブルに長期的に資金を拘束させていたというのは、やはり投資判断が甘かったのだと反省せざるを得ないです。
他にも高配当株投資家に人気のアルトリア(MO)やフィリップモリス(PM)などのタバコ銘柄がありますが、こういう銘柄に成長性を期待して投資するのはやはりあり得ないです。

株価が80ドルにも迫ろうかという2016年から2017年頃のアルトリアのPERは25倍前後だったように記憶しています。ちなみに当時はオワコン扱いを受けていたアップルのPERは20倍を下回っていたので、どちらが”バリュー株”だったのか?と言われると、明らかに後者でしょう。
高配当株で成長性が期待できない銘柄ほど、投資のタイミングはかなり重要であり、それほど割安とは思えないタイミングで買ってしまうと配当金によるインカムゲインよりも、含み損が大きくなってしまい、結果的には損切りをしなくてはいけないハメになってしまうのです。
エクソン・モービルに関しては、今後原油価格が戻れば株価ももっと上昇するでしょうし、実際に需要は高まると思います。ですが、コロナ前ほどの需要が見込めるのかな?という点は疑問ではあります。今や世界はクリーンエネルギーに舵を切ろうとしていますし、頼みの飛行機も、ころなを克服すれば、旅行者による需要は増えるでしょうが、今まで見たいなビジネス目的の利用が減るだろうことが予想されますので、以前ほど原油を必要としないのかもしれないなと考えています。
まあ、どうなるかは実際にその時代が来てみないとわからないのですが、エクソン・モービルに改めて投資をしたいという気持ちは今のところないです。ただ、配当金が今の水準をキープできるのであれば、今の株価でも7%前後の配当利回りですので、悪くはないのかもしれませんね。
高配当のバリュー株ほど、投資のタイミングを測る必要があり、初心者向けの投資方法とは言えないだろうというのを改めて私は感じました。