ワープロは、いずれなくなるのですか?(1989年の雑誌より) pic.twitter.com/5kzFcpyUd3
— 福田 譲 (Yuzuru Fukuda) (@Yuz0130) January 29, 2021

1989年、平成時代の始めは日本がまだバブルを謳歌していた時代ですが、当時の日本メーカーが既に”先見の明”が無いことを表す回答が話題になっています。
今となってはほとんど目にしない、というか私自身も片手で数えるほどしか見かけたことがない『ワープロ』ですが、30年前の日本では無くなるなんてことは日本を代表する一流メーカーでも考えられなかったようです。
東芝さんに関していえば、ワープロ10に対してパソコンが1程度しか普及しないだろうと主張していますね。当時から見る目がなかったのでしょうか。
いえいえ。決してそうとも言えません。1989年当時、パソコンは一部のビジネスシーンで使われ始めた以外は、本当に少数の機械オタクが弄るだけの馬鹿でかい機械に過ぎませんでした。一方で、ワープロは当時はかなり画期的な文書作成マシーンとして実用的なものと考えられていました。ワープロの出荷台数は271万台でまだまだパソコンよりも出荷台数が多く、ワープロの出荷台数のピークとなったのがくしくも1989年でした。
パソコンが一気に一般に普及したのが、マイクロソフトが発売した『Windows』シリーズの影響でしょう。初版の『Windows1.0』は、1985年に発売されていますが、日本でも有名なのが、『Windows95』の発売が大きいでしょう。つまり、日本でパソコンが普及するきっかけとなったのはこの質問から6年後の1995年となります。
1989年には既にWindowsシリーズは発売されていましたが、日本のメーカーが将来の脅威を感じ取ることはできなかったのは仕方ないのかもしれません。
今後成長していくものにも、逆に今後廃れていくものにも、何かしらのきっかけがあります。パソコンの場合は『Windows』でしたし、ガラケーがスマホに移り変わったきっかけは『iPhone』の誕生でしょう。
今はスマホが当たり前に流通していますが、新しいデバイスが出てくればそちらに移行していく可能性も大いにあるでしょう。(もちろん、それが全く流行せずに廃れる可能性もあります)
スマホは確かに今でも世界中で売れ続けていますが、スマホメーカーのアップル(AAPL)も、スマホの売上だけに依存するのではなく、サービスで稼ぐという方向に力を入れています。これはいずれスマホが売れなくなった時の対策でもあるでしょうし、スマホの次に世界中に流通するデバイスを開発するための資金を用意しているのかもしれません。
特にハイテクの世界ではこのような新陳代謝が10年単位で行われており、最近は特にそのスピードは速くなっていると感じます。今はまだその変化を感じることができなかったとしても、一気に大きく変化する種が今も既に芽生えているのだろうと思います。
投資家としては、将来成長してくる分野の企業に投資できれば良いのですが、1989年のコメントを見る限り、大手の企業でも将来の予測なんて全くできないことがお分かりいただけるのではないでしょうか。
だとしたら、既に成長した企業にその時代ごとに合わせて投資先を調整しながら、長期の成長を願って投資をしていくのが良いのかなと感じますね。今から20年後、30年後にはどんな企業のどんな製品が世界を席巻しているのでしょうか。その時代にその企業に投資ができるよう、常にアンテナを立てて、株式市場に敏感にならなければならないなと改めて感じた次第です。