本日から、1都3県を対象とする緊急事態宣言が発令されました。
みずほ銀行チーフマーケット・エコノミストの唐鎌大輔氏は「1度目の緊急事態宣言よりも日本経済に与える影響は大きいと語り、『失われた40年』につながりかねない構造変化が起こっている」と主張しています。

政府主導での緊急事態宣言ではなく、知事が独自に時短要請に踏み切り、菅義偉首相のリーダーシップの無さを感じさせ、菅内閣の支持率低下も止まりません。
そして、元記事にある通り、1都3県に限らず、全国に緊急事態宣言が再度出されることになるでしょう。
しかし、昨年春の初回の緊急事態宣言では、予想通りというかなんと言うか、経済へのダメージはかなり大きかったです。企業業績悪化、個人消費低迷は第二波となる今回の緊急事態宣言でも避けられないだろうと思います。
「20時閉店」という制限は人件費を筆頭とする営業コストを踏まえれば、「やらない方がまし」という判断もあり得るほど厳しいものだと思いますから、飲食店が並ぶ繁華街は再びゴーストタウン化してもおかしくないだろうと考えられます。
1月の初めに発令された今回の緊急事態宣言は、1ヶ月で終わりを告げるかどうか微妙なところであり、3月の年度末まで影響を及ぼすとなれば、多くの企業が設定している1〜3月度の決算は悲惨な結果を迎えることだろうと思います。
私が勤める企業でも、飲食業ほどではないにせよ緊急事態宣言の影響を受ける業界ですから、他人事とは言えません。秋頃にかけて回復してきた日本経済は再び大きなマイナスとなるだろうと予測されます。
そんな中でも、我々が首を切られずにテレワークを続けられるのは、日本企業が時間をかけて貯め込んでいた内部留保のおかげだと言います。
今の日本企業は、過去の貯蓄を食いつぶして、使えないおじさん達も含めて、従業員を支えていると言うのは紛れもない事実でしょう。派遣切りが発生したり、倒産によって職を失った人はいるでしょうが、正社員でコロナの影響で失業したと言う話は日本ではそれほど大規模な話は聞かないです。日本は本当に労働者の権利が強い国です。資本主義的と言うよりは、社会主義的な一面がある国ですからね。
しかし、この内部留保によって従業員を養うことができたと言う事実と、度重なる政治への不信感から、仮にコロナウイルスを克服しても、『貯蓄が正義』だと言う考え方は変わらないばかりか、さらに強まるのではないかと言うのは筆者の見方です。
私もこれについては危惧している状態で、過去に例のなかった、大規模な外出自粛によって、『貯金が正義』『Cash is King』という考え方が一般的な日本人の脳内にさらに刷り込まれてしまうのではないかと心配しています。
しかし一方で、日経平均株価は30年ぶりに2万8,000円台に到達しました。

昨夜、NYダウは史上初めて、3万1,000ドル台で引けたこともあり、米国での追加の経済対策などへの期待が高まっていることだけが、今の株高を正当化しています。
投資家などの一握りの人たちが、金融緩和による株高に躍っている中で、『貯金が正義』という考え方が広まりつつあることや、実体経済の悪化が止まらないことは、とても興味深いです。
少なくとも、『日本株は出遅れている』『日本株は割安だ』『このまま史上最高値更新もありうる』というのは、非常に根拠が薄いと言えるのではないでしょうか。
コロナによってしばらくの間、成長性が抑えられるのは、日本だけに限ったことではありませんが、日本がこのまま、内部留保に力を入れ、低成長を続けるようなことが実際に起こり、『失われた40年』となった場合、今の株価でも本当に割安なのか?という疑問が出てきます。
最近、私は投資が恐ろしくて仕方ありません。もちろん、恐ろしいからといって降りるような馬鹿な真似はしませんが、株価がなんの抵抗もなく上昇している時の方が、その後のことを考えると怖いものです。
日本がこのまま、『失われた40年』に突入するのかどうかは分かりませんが、我々個人投資家は、自分が信じる投資方法でこれからも投資を続け、市場に生き残り続けることに全力を注ぐことがベストなのではないでしょうか。
コロナワクチンが全世界で認証され、人々がコロナを克服した時、正気に戻って株価は大暴落する可能性があります。暴落しても、市場に残り続けられるよう、冷静で居続けたいと私は思うばかりです。