速報値ではあるものの、今年の出生数は昨年を約1万7千人下回り、85万人を割り込む見通しとなり、統計を始めてから最も少ない出生数となる見通しだと言うことです。

見出しにあるような、コロナと出生数の減少には関連性が低いのではないかとは思います。収入の減少によって家族計画を見直したと言うご夫婦もいらっしゃるかもしれませんが、テレワークやステイホームなど、自宅から出ない時間が増えたことで、、夫婦で共に過ごす時間が増加したと言うご家庭もあることでしょう。そもそも、出生数はその年に生まれた子供の数です。妊娠から出産まで10ヶ月程度の期間を必要としますから、コロナと出生数には関係がないことが明らかです。コロナの影響が出るとすれば、今年よりも来年の方が色濃いのではないでしょうか。
それはさておき、コロナの影響に関わらず、今年の出生数は前年比2%減の84万8千人程度になる見込みで、初めて90万人を下回って「ショック」と言われた昨年の86万5239人からもう一段、落ち込む公算が大きいとのことです。
国立社会保障・人口問題研究所が2017年に出した人口予測では、出生数の90万人割れは2020年、84万人台になるのは2023年と見込んでおり、たった3年前の人口予測ですらすでにズレが生じるほど、想定を超える速度で少子化が進んでいることがわかります。
世界的に見れば人口は増加傾向にあり、100年以内に世界の人口は100億人を突破すると言われています。ただ、地球の生産能力で言うと、おそらく養える人間の数は100億人弱程度と言われているので、人口は100億人前後を頭打ちにそれ以上に増加することはないだろうと言われています。
地球の限界を迎えるまでに、人類が火星への移住を現実のものとするか、はたまた、人口を”間引き”するために、限られた食糧を奪い合う第三次世界大戦が開戦となるか。これからの100年間も、人類の向かう未来は実に不安に満ちているのである。
しかし、先進国においては少子化が問題となっており、こと日本においては少子高齢化と未婚者の増加により、人口は減少の一途を辿っています。
出生数の減少は、ひとえに日本における徐々に若年層の人口が減少していることや、経済的な面で子供を育てられないと考える人が増えたことなど様々な要因が挙げられますが、やはり日本という国単体で見ても、将来に希望を持てない若者が増えたと言うことではないでしょうか。
“普通の幸せ”を手に入れるのに死ぬほど苦労をしたり、現実逃避のファンタジーの世界に逃げ込むような人が増えたことが、その事実を物語っていると言えるのではないでしょうか。

この国に将来性を感じない、明るい未来が見えてこないから、不安に苛まれて子供を授かることさえ諦めてしまう、もしくは一人だけで育てるのに精一杯と言う夫婦がいるのは事実でしょう。
日本の出生率は、現在1.43人と言われています。女性一人当たりが生涯に1.43人の子供を産むと言う計算です。日本では、夫婦は2人で1組ですから、産まれる子供が2人でやっと人口が保てる水準と言えます。つまり、出生率が2を割っている時点で、将来の人口減は免れることができないというのは明らかです。
人口が減少していくということは、労働人口、消費人口、共に減少していくと言うことですから、日本の国際的な競争力がますます減少していくことになります。インフレも許さない、日本人の貧乏人根性を見るに、日本企業にとっては本当に手痛いことです。国家にとって人口減少は深刻な問題です。近年中国が急成長を遂げることができたのも、世界一の13億という人口のもとで内需を中心に企業が成長を遂げてきたためです。かつては『一人っ子政策』と呼ばれる人口抑制の政策を敢行していましたが、中国の急速な成長とそれに伴う中国人の平均寿命の上昇から、社会保障制度の設計が追い付かないと気付き、2016年以降には廃止されました。
この中国の転換から見ても、子供が生まれる数が少ないと言うことは政府が一番に取り組む必要がある問題であるということがわかります。もちろん、生活様式の多様化が広がっている現在の日本で、全員が出産をすることが必要だと言う主張が人権を得られないのもわかりますが、我々が不安を感じていて、子供を育てる余裕がない限り、負のスパイラルに陥って、ますます日本の人口減、少子高齢化は加速度的に進んでいくことだろうと思います。
その対策のために、私は若い世代も含めて国民のほとんど全員が投資を始めることを推奨したいと思っています。若年層の不安の最たるものは、やはり『経済的な不安』であると言えるでしょう。年齢に関係なく、経済的に自立することが、まずは急務であると私は考えています。
20代の間に、何千万円という資産を形成しろとは言いませんが、少なくとも結婚するまでに働かなくても1年くらいは余裕で過ごすことができる程度の資産であれば、20代のうちに形成することができるのではないでしょうか。
それもまた、人によりけりですが、独身であれば、1年で300万円ほどあれば、かなり余裕のある生活ができるのではないでしょうか。300万円程度の資産を保有している二人が結婚すれば、それだけで世帯の資産額は600万円となります。少し安心できる金額ではないでしょうか。
300万円程度の資産であれば、大卒で入社したとして、新卒から30歳までの期間で形成することが可能な資産額と言えるでしょう。もちろん、300万円であれば、貯金だけでも形成可能な資産額ですが、投資を活用すればさらにハードルは下がります。
仮に、新卒から7年間、平均リターンを保守的に5%で計算して積立投資をすると仮定すれば、毎月3万円弱の積立投資で実現可能な金額であることがわかります。

まあ、期間が7年と短いため、元本だけでも250万円近く貯めることができている計算ですが、この後も取り崩さずに投資を続ければ、さらに爆発的に資産は増加していきます。同じリターン、同じ金額で仮定して、30年間積立投資を続ければ、50代半ばで、大した苦労もなく2,500万円弱の資産を築くことができます。

今の時代、30歳になっても平均年収は300万円台だそうです。いろいろ天引きされれば、手取りは200万円台となることでしょう。そんな世の中で、30歳の時点で300万円でも資産を持っていればそれだけで少しは余裕のある人生を送れると思いませんか?毎月経ったの3万円弱の積立投資を続けるだけで、十分に30歳で300万円程度の資産であれば形成することが可能なのです。
日本はこれからますます、少子高齢化が進み、将来に希望が持てない国に凋落していくことでしょう。その原因は経済的に不安定だからです。就職ができるかどうかも分からない。就職できても安月給で、意識しなければ生活できるギリギリの収入です。昇給は望めず、結婚したくてもできないと言う人も増加していくことでしょう。
そんな日本で暮らしていくには、やはり収入の一部を、『意識して』取っておき、それを運用して余剰資金を作り出していくことが重要なんだと思います。みんながみんな、これをやれば、今ほど悲壮感の溢れた状態からは脱出できるだろうと思います。
しかし、私たちがどれだけ投資の重要性を説いたところで、『投資は怪しい』『そんなお金はない』と言う人が多いのが現実です。そんな逃げ腰や言い訳を言い続けている限り、豊かになれるはずがなく、子供を授かると言う幸運に対してすら躊躇してしまう生き方しかできなくなるのです。
前述の通り、投資には複利の力が大きく働きますから、7年しか投資しなかった場合と、30年投資した場合では取り返しのつかないほどのリターンの差が出ることになります。投資で余裕のある資産を形成するには、かなりの年数がかかってしまうのです。
だからこそ、少しでも若い段階から投資を始めて、金銭的に余裕を持った状態で、家族計画を立てると言うのが理想の流れと言えるのではないでしょうか。
日本の出生数を増やさない限り、日本の未来はあまり明るいものではないと私はそう考えています。