日本は、世界第3位の経済大国と呼ばれていますが、1位の米国や2位の中国と比較して、大富豪と呼ばれる人たちは少なく、いわゆる小金持ちと呼ばれる人たちが多いと言われています。つまりそれだけ格差が少ない国だと言えるはずなのですが、格差が広まっていると騒ぎ立てる民衆は多いですよね。
ですが事実として、格差はどんどん広まっているという見解が正しいようだ。野村総合研究所は今月21日、日本の富裕層についての推計調査を発表しました。

それによると、金融資産1億円以上の「富裕層」「超富裕層」の世帯数の合計は132.7万世帯となり、2005年以降最も多かった2017年の前回調査結果である126.7万世帯から6万世帯増加したとのことです。アベノミクスが始まった2013年以降、富裕層世帯は一貫して右肩上がりの増加を続けているということだ。

前回調査の2017年から2019年にかけて、富裕層の保有する金融資産保有額は9.3%、超富裕層は15.6%増加したことが判明しました。

過去10年近くにわたり富裕層、超富裕層の世帯数および金融資産保有額が増加している要因は、株式など資産価格の上昇により、保有資産額が増大したことに加え、金融資産を運用している準富裕層の一部が富裕層に、富裕層の一部が超富裕層に移行したためだと、野村総研では分析している。
野村総研さんの分析とは別に、この金融資産保有額と世帯数の推移表を見るだけで、とても面白い情報がたくさん読み取れます。
まず、前述の通り、富裕層の保有する金融資産保有額は9.3%、超富裕層は15.6%増加しているということだが、世帯数を見てみると、富裕層は118.3万世帯から124万世帯へと、4.8%増加しているのに対して、超富裕層は8.4万世帯から8.7万世帯へと3.6%の増加に止まっています。
世帯数の割合で言うと超富裕層よりも富裕層の方が増加しているのに、金融資産保有額の増加割合では超富裕層が6ポイント以上も富裕層を上回っている。これは、富裕層と超富裕層の間にも、確実な格差が存在していることを表しており、お金が貯まるところには、さらにお金が貯まると言う原則が富裕層の間でも確認できると言うことです。
それを裏付けるように、準富裕層では世帯数が322.2万世帯から341.8万世帯へと6.1%増加しているのに、保有資産額は3.2%しか増加していないことがわかるだろう。
しかしここまでは、まだ増加傾向にあるから笑い話で済まされる。アッパーマス層とマス層では、2017年の調査よりも、資産額が減少していることがよくわかります。アッパーマス層については、720.3万世帯から712.1万世帯へ減少したため、資産額の減少はまだ説明がつきます。2年の間にアッパーマス層から準富裕層へ移動した人や、逆にマス層に転落した人がいるのでしょう。アッパーマス層は資産額3〜5,000万円という変動の激しい層ですから、移動が多いのは仕方ありません。
ただ問題なのは、最も下に位置するマス層です。世帯数は4,203.1万世帯から4,215.7万世帯へと0.3%とは言え微増しているのに対して、資産額は673兆円から656兆円へと2.5%の減少となっているのです。貧乏人が徐々に貧乏になっていると言うのがよく分かるデータとなっているのではないでしょうか。
2017年から2019年にかけて、世界的に見ても決して景気が悪かった訳ではありません。2017年の初頭から、2019年の終わりにかけて、NYダウは約45%、日経平均株価でさえ23%ほど上昇している。たった3年でこれほど株価が上昇すると言うのは、かなり好調だったことが分かるのではないでしょうか。
それにも関わらず、国民のおよそ8割程度にあたるマス層は、全くアベノミクス及び2010年代の世界的な好景気に乗っかることができなかった人たちだと言うことが分かります。
もちろん、マス層と一括りにするのは不本意だと考えている人も多いことでしょう。マス層ギリギリの資産額2,000万円台の人々と、ほぼ金融資産を持たないゼロに近い人とは大きな隔たりがあると思います。そればかりか、おそらくゼロと100万円の間ですらかなりの違いが見られるのではないかと思います。
しかし、こうしてある程度のグループにしてまとめて見たときに、マス層の資産が減少していると言う事実は避けようがありません。富める者はさらに富み、貧する者はさらに貧しくなっていくのが資本主義のルールなんです。
私も今は、金融資産が4,000万円台と、アッパーマス層の半ばまでたどり着きました。このまま素直に準富裕層の仲間入りとはいかないでしょうが、それでも今後も投資を続けて数年の間には準富裕層を目指したいと思っています。
もちろん、お金を増やすことだけが目的ではありませんが、資産を増やして余裕のある生活を心がけるなら、1億円程度の資産は築きたいと考えていますし、1億円程度であれば、時間をかければ誰もが成し得る資産額だと考えています。
私もマス層からアッパーマス層に到達するのに9年かかりましたが、そこから先は、加速度的に資産額が増加しています。たまたま上手く時代に乗ることができているだけだとも言えますが、運用資産額が増えれば金額の増減が大きくなるのは当たり前ですよね。
これからも資産形成を続けて、準富裕層、富裕層、そして生きている間に超富裕層までたどり着ければそれはそれで嬉しい限りです。
何にせよ、2017年から2019年と言う順調だった期間においては、世界的に見て、格差が広がっているとは言えない日本においても、徐々に格差が広がっているのが、野村総研のデータで明らかになりました。
この格差の示すところはつまり、行動した人としなかった人の差です。自ら資産形成やリスクテイクに動いた人たちは着実に資産を増やし、将来に漠然とした不安を抱えるだけで何もしてこなかった人は、収入や資産を食いつぶしてジリ貧になるより他ないのです。
お金持ちがどうしてお金持ちであり続けられるか、と言うとお金がどんどんお金を呼ぶと言う性質を持っているからです。お金があるところにはお金が集まるのは当然です。例えば、ファーストリテイリングの柳井さんの総資産は2兆円を超えると言われています。2兆円と言えば、単純に全額を普通預金として預けておいても、0.001%の利息で年間2,000万円儲かります。これは、ファーストリテイリングの社員の平均年収900万円のおよそ2.2倍に相当します。
柳井さんがそんな馬鹿げたことをするはずはありませんし、柳井さんならもっと優遇された金利が適用されるでしょうから、あくまで仮説ですが、お金があれば、お金は簡単に儲けられます。だとすれば、我々はまずそれなりにお金を用意して、お金がお金を呼ぶシステムを構築するところから始めるべきではないでしょうか。
何もしないで指を咥えて見ているだけでは、あなたはいつまで経っても貧しいままです。資本主義が前提の現代社会において、格差の広まりは止めることができません。搾取されるのは常にマス層の住民だと言うことは明らかなのです。それを頭に叩きつけて、資産形成に励んでいきましょう。