【考察】桐谷さん「株主優待投資は、少ない資金しかない人やリスキーな投資は嫌だという人にピッタリ」は本当か?

投資の考え方
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株主優待だけで生活していると言うことで、日本で最も有名な投資家として取り上げられることが多い、桐谷さんですが、東洋経済オンラインに興味深い記事が掲載されていました。

株主優待で生きる「桐谷さん」のスゴすぎる日常
「株」と聞いただけで多くの日本人が難色を示します。「素人が手を出したら大やけどするのでは」「株はギャンブルですよね」「なにもかも失ってしまったらどうしよう」なんだか、とても恐ろしい世界だと思い込んで…

桐谷さんが今年11月に上梓した、『桐谷さんの株主優待のススメ』と言う書籍で、「株主優待投資は、少ない資金しかない人やリスキーな投資は嫌だという人にピッタリ」だと言う主張をされているそうです。

もちろん、値上がり益(キャピタルゲイン)を狙った株式投資がギャンブルとなりがちだと言うところは正しいと思います。キャピタルゲインばかりを求めた短期的な投機はギャンブル以外の何物でもありません。

しかし、彼が主張する「株主優待」に着目した桐谷さんの手法は危険度ほぼゼロだと言うのは首を傾げざるを得ません。優待に力を入れている企業の株は、比較的、価格が安定していると言うことですが、それは過去数年間、景気が安定しており、株価が暴落することがなかったからではないでしょうか。

むしろ、株主優待目的で株価が高止まりしている銘柄は、景気の要因のみならず、優待を改悪するたびに株価が大きく調整する傾向にあります。それだけ多くの個人投資家に優待目当てで投資されていると言うことがよくわかります。

例えば、住宅向け給排水設備の設計・コンサル業のエプコ(2311)は、コロナショックの調整から株価が回復していたにも関わらず、今年8月に株主優待の廃止を発表すると株価は急落。日経平均株価が30年ぶりの高値を更新した11月にも全く波風が立たず、今も株価が戻る気配はありません。

今年はコロナの影響もあり、多数の株主優待の改悪・廃止が起こりましたが、株主優待目的で投資されていた企業ほど、株価が大きく調整したことは言うまでもありません。

このように、日本株には株主優待があると言う理由だけで、本来の実力以上に評価されがちな銘柄が数多く存在しています。株主優待を出さなければ個人投資家に投資してもらえないから、企業も配当金そっちのけで株主優待を優先したりします。実にバカバカしい習慣だと個人的には思います。

また、投資元本が少額だからこそ優待投資をするべきだと主張していますが、少ない資金を成長性のない、優待だけがメリットの企業に投資するのはどうかと思います。

少額投資であれば、当たり前ですが大して多くの銘柄に投資することはできません。当然ながら、投資元本100万円くらいで、株主優待だけで生活できるほどの優待銘柄を保有することはできません。

桐谷さんは株式資産が3億円ほどありますから、株主優待だけで365日生活することができるのであって、投資元本が少ない時ほど、安定した成長性が見込める銘柄に投資すべきではないでしょうか。

私が日本株に投資しないのは、『株主優待』の存在が大きいです。ただでさえ成長性で劣る日本企業の利益率を圧迫しているのは株主優待の存在もあると考えています。

株主優待は企業にとっては利益を引き下げる原因となる費用です。つまり株主にとっては、自分自身が負担しているコストなのです。株主であるならば、本来コスト管理に対しては敏感であるべきなのです。

日本に株主優待目的の投資が根付いてしまっているのは、いかに日本人が株主というものを理解していないかを表しているように思います。

『株主優待 オススメ』などと言う検索ワードで調べれば、株主優待も含めた利回りがとても高い日本企業がいくつか出てきます。しかし、それらの企業は、一般的にほとんど聞いたこともないような企業ばかりです。

その企業が一体何をしているのか?どんな業種で、どんな強みを持っていて、どんな収益体制なのか?本当に理解して投資している人はどれくらいいるのでしょうか。

クオカードが欲しいから、割引券が欲しいから、と言う理由だけで虎の子の資金を聞いたこともない企業の株に投じるのは危険だと思います。

もちろん、一般にそれほど知られていない銘柄の中にも素晴らしい銘柄はたくさんあります。知らない企業だからと言って避けてしまうのももったいないです。しかし、投資対象として10年、20年という単位で投資を続けていきたいのであれば、もっと他に優良な投資対象は多いんじゃないかと思います。

株主優待目当ての投資はすでに割高となっている銘柄も多く、短期的にリターンを得ることを目的としており、莫大な投資元本を持っているからこその投資手法なのだと思います。そう考えれば、桐谷さんには向いている投資方法と言えるのかもしれませんが、我々世代のような投資家にはそれほど向いていないんじゃないかなと思う次第です。

結局、桐谷さんも株主優待によって、資産形成ができたのではなく、長期投資によって時間をかけて株式資産が増加してきたことによって豊かになったのだと言えるのではないでしょうか。そのためには、投資先に何を選ぶかはかなり重要なんじゃないでしょうか。

自分が株式投資を通じて、どのように資産形成をしたいのかよく考え、優待投資が果たしてその目標達成に向いた投資方法なのか、改めて考えてみてはいかがでしょうか。

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