日経新聞の報道によると、米投資ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)と楽天(4755)は16日、スーパー大手の西友に出資すると発表しました。

西友と言えば、2002年に世界最大の小売業者であるウォルマートと資本提携を結び、2008年からはウォルマートの完全子会社となっていましたが、保有する西友株の全てをKKRと楽天に300億円前後で売却すべく調整しているということだ。
ウォルマートは西友の完全子会社化におよそ2,500億円を投じていたということですから、投資金額に対して8分の1程度しか回収できず、かなりのロープライスでの売却となる見込みです。
しかし、その後ウォルマートは新規の資金、数十億円を投入して、西友株の15%を改めて保有し、最終的にKKRと楽天、ウォルマートの保有比率は、それぞれ65%、20%、15%になる見通しとなります。
一方で、楽天は2018年より、西友とネットスーパーという形で提携を始めており、楽天ポイントも付与されるし、ネットスーパーとしてはそれなりにコスパも良いということで私もたまに利用しております。配送エリアとしても、西友の店舗が近くにある主要都市であれば、ほとんどが対応しており、まだ首都圏の一部にしか展開できていない、アマゾン・ドット・コムの『アマゾンフレッシュ』などと比べると使い勝手も良い印象を受けました。
特に今年は、新型コロナ下の外出自粛を受け、楽天と西友のネットスーパーの10月の売上高は前年同月の5割増で推移しているということですから、楽天が西友の買収に興味を示すのも分かる気がします。
『西友』の生き残り方は、まさに時代の変化そのものです。かつては、西武百貨店の一事業部として1950年代に誕生した『西武ストア(のちの西友)』という企業が、高度経済成長期には大きく飛躍するも、バブルの崩壊後は業績の低迷とデフレ経済によって苦戦しました。その後、自立経営が困難となったことから、ウォルマートに救済される形で事業提携・完全子会社化という道を選択し、昨今の変化によって、次はIT企業の資本下に入るということです。
日本の栄枯盛衰や、事業形態の流れなどが西友の歴史には刻まれていると言えるでしょう。西友はある意味、柔軟に上手いこと時代の変化を受け入れて、名前を残すことができているんだろうなと私は感じました。
今後、ネットとリアル店舗の融合は今まで以上に加速していくことだろうと思います。かつては小売業を破壊すると恐れられたアマゾン・ドット・コムですが、確かに生き残る体力がない中小企業は潰れてしまったかもしれませんが、大手小売業は、彼らと提携することで業績を伸ばしています。
強い者はより力を増し、弱い者は淘汰される。まさにこれが資本主義の、弱肉強食の世界だと言えるでしょう。そういう時代の変化に機敏になり柔軟に受け入れることが、生き残る術なのではないでしょうか。
我々個人投資家も同じで、強い者の力を利用して、資産形成をするという手法が最もリターンを高めることになるでしょう。だからこそ、誰もが知っている優良大型企業の株を”買収”していくことが、私が勧める資産形成方法なのです。