ブルームバーグの報道によると、フリーダム・ホールディングという証券会社を率いるティムール・トゥルロフ氏が弱冠32歳にしてビリオネアになったということです。

米国に上場しているということですので、フリーダム・ホールディングという企業を調べてみましょう。
どれどれ・・・
お!
ありました!フリーダム・ホールディング(FRHC)!

・・・いや、控えめに言ってもすごくないですか!?5年前の株価は0.08ドルだったようですので、5年で300倍ですよ!100万円が5年で3億円ですよ!夢がありますね!!!
フリーダム・ホールディングの株価は、特に個人投資家が活発に動き始めた2017年の後半頃から株価が急騰していることがよくわかります。
株価が300倍となった今でも時価総額は14億ドル程度の小型株ですが、そのうち73%をトゥルロフ氏が保有していることから、彼の総資産額は10億ドルを超え、見事に32歳でビリオネアに達したということです。
しかし、フリーダム・ホールディングに底値で投資するのはかなり困難だったと言えるでしょう。6年ほど前の段階では、フリーダムの売買の少なくとも80%を少数のデイトレーダーが占めていたと記事の中でも書かれているように、とてもここまで株価が上昇するような規模の企業ではなかったのかもしれません。
しかし、前述の通り、個人投資家の増加によって収益性が高まり、株価が上昇し始め、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)を受け、米国から・中国・インドといった巨大なマーケットから、株式相場の激しい変動から利益を得ようとするデイトレーダーが殺到したことが同社の収益性と株価の増加を助長したことになるのでしょう。
現在、フリーダム・ホールディングはロシアの10大証券会社の一つであり、同時にカザフスタンでは最大の証券会社となっているとのことです。
それにしても、すごいなあ・・・5年で株価300倍はとてもじゃないが想定できませんよね。
同社の収益のほとんどすべては、溢れ返るほど増加したトレーダーからの手数料収入で賄われています。つまり、デイトレーダーが増加して一番儲かっているのは、おそらくデイトレーダーとして市場に参加している投資家ではなく、証券会社などの手数料ビジネスを展開している企業の経営者でありながら、同社の株のほとんど全てを長期的に保有し続けている大株主であるトゥルロフ氏だったのですから皮肉なものです。
デイトレードで儲けることも、不可能だとは思いません。勝つ日もあれば、負ける日もあるでしょう。ですが、だからこそ、勝ち続けるというのはかなり至難の技になってしまうのです。
それでも諦めずにデイトレードをやっている人が増えると、それだけで証券会社には手数料収入ががっぽりと入ってくるのです。
もちろん、投資ブームが終焉すれば、また再び株価が地を這う可能性もありますが、一度でも最大の証券会社と呼ばれるほどの規模に成長した同社は、以前よりは用意に顧客を呼び込むことが可能なので、以前のようなボロ株寸前の評価になることは考えづらいかもしれません。
それにしても、これだけの投資ブームが巻き起こっている中で、証券会社のCEOがビリオネアになったというニュースは皮肉なものですね。
結局一番儲かるのは、デイトレーダーではなく、彼らから手数料を受け取っている証券会社であり、その株に一点集中投資をしている経営者層なんだなということがよく分かります。資本主義社会においては、胴元の立場に立って、手数料収入を得るというのが、一番儲かるビジネスモデルなんじゃないかなと私は思います。