昨日も米国株市場はそれなりに好調な状態で、この記事をまとめているタイミングでは株価指数はどれも微増をキープしています。市場参加者もFOMCの結果を受けてから動こうとしているのか、様子見ムードが漂っていますね。
それでも株価が上がっているのは、やはりコロナワクチンの開発が前進しているからでしょうか?英国・アストラゼネカが治験を再開したことや、米国のファイザー(PFE)とドイツのビオンテックがFDAに治験の被験者数を増やすよう申請したことが大きな後押しとなっており、そのまま株価が上昇しているのかもしれません。
しかし、今のFDAはワクチン開発に躍起になっており、急ぎ過ぎで安全性を二の次にしているのではないか?という不安が米国民の間に流れているようだ。過去2カ月に行われた世論調査では、米国民の過半数がワクチン開発を急ぎ過ぎることへの懸念を示し、3分の1は接種を受けないと回答したということです。
そればかりか、米国を代表する大富豪のビル・ゲイツ氏が、ブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「血漿療法を巡る発言の不手際は、楽観的な発言をするよう圧力をかけられると人は道を踏み外してしまうことを示している。あれでFDAは大いに信用を失った」と語ったように、国民のFDAに対する不信感は募るばかりのようです。

もし仮にワクチンが完成したとしても、利用する人がいなければ何の意味もありません。トランプ大統領が大統領選の前にワクチンの準備ができることを望んでいるために、かなり急いでいるようにも見えてしまうのだと思います。確かに、新薬がわずか数日の間に承認されれば、それはそれで怖いものですよね。
あまり急ぎすぎても人々の不信感を拭うことができず利用者が増えないのであれば、むしろもっと長いスパンで開発や治験を続けて安全性の高いものをしっかりと実用化してもらった方が良い気がします。
しかし、経済的には1日でも早くコロナウイルスの脅威から人類を救ってくれる救世主が必要なわけですが、そのバランスが非常に難しいところではあります。
早く完成したとアナウンスしても、人々がそれを使うことを拒否するようでは、まだまだコロナウイルスの影響は続くだろうと思いますし、国民が納得して接種できるワクチンが完成するには、少なくとも年明けにはなってしまうでしょう。
つまり、今年いっぱいはどう足掻いても経済的な面では回復が困難だと個人的には思います。実体経済に反して、米国株市場は上昇していますが、最近はどっちつかずなチキンレース状態になってしまっています。
このようなどっちつかずの状態から、一度下落し始めると、しばらくはズルズルと株価が調整する可能性がありますから、逆に言えば、ズルズルと株価が下落し始めた頃から株を買い集めるのがベストなんじゃないかなとも感じます。
ワクチン開発は確かに時間がかかるでしょうが、副作用などの可能性も含めて、安全性の高いものを供給して欲しいものだなと思います。FDAが一度失った信頼度は、時間をかけて回復していくしかないようです。