日経新聞によると、世界の上場企業の稼ぎ頭が急変しているということだ。IT(情報技術)や半導体関連が躍進し、金融やエネルギー、自動車が順位を落とした。新型コロナウイルスの感染拡大でデジタル化や脱炭素が加速し、企業の優勝劣敗が鮮明になっている。

コロナ以前からハイテクや生活必需品は優勢、金融・エネルギーは劣勢という状況がしばらく続いていましたが、コロナの影響でさらにセクターごとの強弱がハッキリと分かれています。今までは好景気から一転、景気が悪化すると主役となるセクターの入れ替えがありましたが、それが起きなかったというのは非常に印象的ではあります。さすがに調整が入りそうな予感はありますが、それでも3月半ばの底値まで調整してくれるかどうかというと微妙なところですね。調整が入れば今度こそもっと大量に買いを入れたいと思います。
それはさておき、2020年3~5月期、4~6月期、5~7月期の決算を対象に世界の上場企業約4万4000社の米ドル換算の純利益を集計しランキングした結果、1位に輝いたのはなんと、『投資の神様』ウォーレン・バフェット氏が率いる投資会社、バークシャー・ハサウェイ(BRK)だったことが分かりました。
そして、2位はなんと孫正義氏が率いるソフトバンクグループ(9984)。近年は『ハイテク版バークシャー』とも呼ばれるソフトバンクグループが世界の上場企業の純利益の第2位に躍り出たことが分かりました。
またトップ10には、これらの企業が躍進するきっかけとなったアップル(AAPL)やアリババ(BABA)と言った巨大IT企業がランクインしているのである。
1位のバークシャーの場合は、数年前に変更になった、保有する株式の評価損益をP/Lに直接ヒットさせるという会計方針の影響により、四半期決算においての『純利益』の数字にあまり意味をなさなくなったことや、2位のソフトバンクグループの場合は、保有していた株の売却による売却益が発生しているなど、他の企業と比較すると四半期ごとの変動要因が大きく、単純に評価できるものではないと言えます。
しかし、四半期の純利益とは言え、世界のトップ1、2を投資会社が占めたという結果は事実です。この結果から言えるのは、株価が下がった時でも有望な企業は売らずに保有し続けるのがベストだということと、反面、成長見通しが変わったり、他により良い投資先を見つけた場合は、思い切って手放すことも一つの手だということがわかります。
この2つは相反するようですが、案外一貫しており、今後の成長可能性を見出して投資しているという面ではどちらも同じ投資行動なのではないかと思います。
どちらにせよ、今年の大暴落の最中にも投資を続けてきた人たちは法人・個人問わず、それなりの恩恵を受けたと言えるのではないでしょうか。少なくとも私は、一時的に過去最高益・過去最高資産額を突破しました。
投資は継続してこそ意味があると私は思います。コツコツ投資して初めて複利の効果を得ることができるわけですからね。もしかしたらこれから始まるかもしれない調整の場面で、持ち株を狼狽売りしてしまう方もいらっしゃるかもしれません。それはそれとして彼らなりの投資判断なので、良いのですが、持ち株を手放したからと言って、完全に投資の世界から足を洗うのはお待ちいただきたいものです。
以前、記事にして大きな反響をいただきましたが、『長期投資』と『長期保有』は似て非なるものです。

長期投資していく中で、長期保有可能な銘柄に出会えるのがベストですが、これは欲深さゆえに間違った投資をしてしまったと思えば、手放して次にいくのも一つの戦略です。
判断を誤ることなんて、長い投資家人生の中で何度も訪れることだろうと思います。バフェット氏ですら、投資判断を誤ったというエピソードには事欠きません。なんせ、「バークシャー・ハサウェイの買収自体が人生最大のミス」と語っているほどですからね。

もし、バフェット氏がこのミスを犯さなければ、今のバフェット氏の資産額はもっと大きく膨らんでいたかもしれません。その代わりにバークシャー・ハサウェイは、四半期の純利益で世界の上場企業のトップに君臨するような巨大企業に成長することはなかったでしょうけどね。
しかし、バフェット氏はバークシャーの買収という失敗から、『割安に見えるだけじゃダメなんだ』という大きな教訓を得ているのです。
もしかしたら、バフェット氏がバークシャーに出会わなければ、誤った投資を実施しなければ、バフェット氏もバークシャーも今ほど騒がれるような著名な投資家と投資会社には成長していなかったかもしれない。
失敗を犯しながらもその教訓を得て成長し、継続していくことで将来には大きな資産を築くことができると言えるでしょう。致命的な失敗さえしなければ、何度でもやり直せます。失敗してそのまま二度と戻ってこないというのではなく、失敗を糧に投資を続け、将来のための資産形成を心がけるのが賢明だと言えるのではないでしょうか。