日経新聞によると、シンガポール在住の著名なコメンテーターのジム・ロジャーズ氏は「市場の楽観は根強く、短期的には日本の株高は続く」と予想したと言うことです。

一方で「際限なき財政支出と日銀による金融緩和は将来に禍根を残す」と中長期での弱気論を展開した。どちらに転んでもジム・ロジャーズ氏の言った通りに市場が動くと言うことで、彼の予想は今度こそ当たりそうな気がしますね。あまりに外しすぎて信用がなくなったので、市場予想を置きにきたのかな?
どこまでを短期的と考えているのかがハッキリとしていない(来年も日本株を買おうとは思わないとは発言していますが)ので、ジム・ロジャーズ氏は株価が下がり始めたら、またしても『私の予定通りだ。日本株は全て売った』と言い始めることでしょう。
それでも、やはり短期的には強気だと言う姿勢は、ジムロジャーズ 氏も今でも持っているようで、『投資の神様』ウォーレン・バフェット氏が日本の商社株を買い始めたとのニュースが流れたこともあり、「バフェット氏に注目している多くの人たちは彼と同じように動くので、日本株を買う投資家は相対的に増えるだろう。私ももっと日本株を買うべきだと考えている。」とコメントしたのである。
ジム・ロジャーズ氏はバフェット氏に乗っかるおつもりなのでしょうか?同じ世界三大投資家にも関わらず、随分と日本株を保有する根拠に乏しいものですね。「日銀が買ったから」、「バフェットが買ったから」と言って株を買うことは、投資初心者にでもできる、最も騙されやすい投資方法の一つです。
どちらにせよ、世界中で大規模な金融緩和がこれ以上続くようであれば、残念ながらジム・ロジャーズ氏の言うように危険水域に到達するかもしれません。少なからず、いつどのタイミングで調整が入ってもおかしくない状況は続いています。
とは言え、米国株市場は、過去にも同じようにバブルかもしれないと思われながらも株価が上昇し続けてきた歴史があります。逆に、「株価が下がることは永遠にない」と言われながら、大暴落したこともありました。
しかしながら、そのような成長期を乗り越え、何度も発生したバブルとその暴落も乗り越え、米国株市場は世界のどの株式市場よりも力強く右肩上がりに成長し続けてきたのです。
これからも米国株の成長が今まで通りの成長を見せるかどうかは分かりませんが、それでも米国株がこれからも最も成長する可能性はあると言えるのではないでしょうか。
またしてもNYダウ3万ドルの突破は一旦お預けというような雰囲気ではありますが、おそらく2020年代の間にはNYダウが3万ドルを超える場面はあるでしょう。
ただし、長期的に見れば成長し続けている米国株市場とは言え、2000年代は2000年にNYダウ1万1千ドル台だったのが、リーマンショックの影響もあり、2010年の初め頃も同じように1万1千ドル程度だったので、10年くらい全く成長しなかったというケースもあることを覚えておく必要はあるでしょう。しかし、20年、30年という長いスパンで見た時には、米国株市場はこれまでずっと右肩上がりに成長を続けてきたのは確かなのです。
つまり、米国株市場が歴史と同じ轍を踏むのであれば、どれだけ長くとも2035年頃までにはNYダウは3万ドルを突破しているだろうということがわかります。最近は株価の下落も反転も、物凄い早さで変動しますから、どれだけ暴落やレンジ相場が続いても、最高値の更新には15年もかからないだろうとも思います。
さて、そんな中で、ジム・ロジャーズ氏は短期的に日本株に投機するかもしれないことを示していますし、ウォーレン・バフェット氏はバークシャーの現金残高から、『小銭程度』の少額投資を日本株にしただけでこれだけの日本人に注目され、大きく取り上げられている訳です。
バフェット氏もロジャーズ氏も、別に日本株を主力にしているわけではないです。残念ながら、彼らはお金が有り余っているので、余剰資金のうちのほんの一部で預金として預けているよりはマシ、な日本株を購入したにすぎないのです。
さてさて、『投資の神』バフェット氏の神通力と、『逆神』ロジャーズ氏の神通力、どちらの神通力が勝るのでしょうか。個人的にはバフェット氏は意外とあっさりと日本株を手放しそうな予感がしています。だとすれば、逆神・ロジャーズ氏が日本株を保有し続ける限り日本株の暴落フラグはまだまだ立ちっぱなしなのです。
ロジャーズ氏も早々に撤退すると明言していますし、日本株市場も本当のところはどうなるか予想もつかない状況です。
どちらにせよ、日本株に長期的に投資するべきなのかと言われると、あまりオススメできることではありません。成長性がなく、成長期待も持てない国の株式市場に投資するのは避けた方が無難ではないかなと私は思います。
例え割高に見えていても、私は米国株への投資がベストな選択肢の一つだと考えています。今は短い期間ではありますが、割高すぎた株価が調整を迎えようとしています。そんな時こそ買いのチャンスと言えるでしょう。どんどん買って買い支えてあげたいなと思いながら、まだ下がるかなという気持ちも持ち合わせています。
しかし、そうした下落時にこそ買い増しをすることで将来の株価上昇時に大きな利益を得ることができるのです。そう考えると、株価が調整したからと言って、回復見込みがある米国株への投資が最も合理的な選択だと言えるのではないかと思います。
まあ、投資の世界に絶対という言葉はありませんが、一つだけハッキリと言えるのは、
「ジム・ロジャーズのコメントは当てにならない」
という共通認識はこれからも続きそうですね。