元・2ちゃんねるの管理人で実業家のひろゆき氏が昨日、自身のツイッターを更新し、アベノミクスがもたらした経済効果を分析しました。
アベノミクスにより株価があがったことで恩恵を受けた日本人はたった12%。一般人は株を買うお金が無い。
— ひろゆき, Hiroyuki Nishimura (@hiroyuki_ni) September 2, 2020
日本は株価よりも給料が上がったほうが幸せになる国民性なんじゃないかな、、と。https://t.co/AE3Q7xRTYN. pic.twitter.com/0x5DhLEcmA
アベノミクスにより株価があがったことで恩恵を受けた日本人はたった12%。一般人は株を買うお金が無い。 日本は株価よりも給料が上がったほうが幸せになる国民性なんじゃないかな、、と。
データの根拠となっているのは、一昨年の年末に日本証券業協会が公表した『証券投資に関する全国調査』という資料です。この調査によると、いまだに株式の保有率は12.6%、投資信託の保有率は9.2%と全体から見ればかなり低い割合に留まっており、前回調査の平成27年と比べても誤差の範囲という程度にしか変わっていないです。

しかも、今回の調査によると、『興味を持っている金融商品』の欄でも、預貯金に注ぐものが『興味を持っている金融商品はない』という回答でした。

これは大変残念な結果で、『興味がない』と言われてしまうと、最早改善の余地もないのである。まあ、投資をするのもしないのも勝手ではありますが、お金に興味がないとなると、当然アベノミクスだろうが、なんのミクスだろうが、恩恵を受けることはできないでしょう。
しかし、この調査結果は『年金2,000万円不足問題』が公になる前の調査なので、次回の調査ではせめてもう少し、興味がある人が増えていてくれればいいなと思う次第です。
さて、そんな中でひろゆき氏が指摘していた証券会社との取引状況の話です。これはちょうどアベノミクスが始まった平成24年からの調査結果がグラフ化されており、とてもわかりやすいです。

しかし、せっかく前回、前々回との比較グラフを並べたというのに、なんて変わりばえのしないグラフでしょうね。ほぼ同じような内訳となっていることが分かります。
平成27年頃はちょっとだけ証券会社と取引している人が増えていましたが、総じておよそ8割の日本人は投資をしていないことが分かります。
これってアベノミクスが思った以上に効果がなかったということになるのでしょうか?サラリーマンの可処分所得が減っているとよく聞きますが、実は、アベノミクス以降に限れば可処分所得は増加しているのです。
これには共働きの増加も影響しているので、純粋に一人ずつの給与額が伸びたわけではないのですが、それでも可処分所得が増えたことに変わりはありません。

ただし、社会保障費や増税、緩やかなインフレなどで、『実質可処分所得』は減少しているのが現実です。
ですが、これを『アベノミクスの失敗』と揶揄するのはいかがなものかと私は思います。アベノミクスの期間中、確かに日経平均株価は3倍ほどに上昇しました。それが適正な上昇だったかどうかは定かではありませんが、日本株ですら買い続けていれば資産を拡大させることができた相場環境だった訳です。
しかも、首相が自らNY証券取引所で「Buy my Abenomics!(アベノミクスは買いだ!)」と演説するなど、日本株が回復基調になることを世界にアピールしていた訳です。
NISA制度が始まる前は、株取引や配当金にかかる源泉税率も10%でした。その代わり、今と比べて手数料は相当割高でしたが、バイ&ホールドをするにはとても良い環境でした。また株にかかる源泉税率を10%に下げて欲しいなぁ・・・最近では配当金もバカにならない金額になりましたから、当時よりは恩恵は大きいだろうと思います。
とまあ、このように投資を続ければ資産を拡大させることができるだろうと期待の持てる投資環境がアベノミクスのお膳立てによって見事に揃った訳です。
実質可処分所得が減って「アベノミクスの恩恵を全く感じません」と文句を言う人々は、果たして『Buy my Abenomics!』を実行したのでしょうか?答えはNoです。彼らは『Buy my Abenomics!』と2010年代の長期的な景気回復期の恩恵に乗り遅れたから思った以上に景気回復の恩恵を感じず、文句を言っているのです。
資本主義社会において、景気が回復したからと言って、インフレ率以上の賃金の上昇を期待するのは少し楽観的すぎると思います。ましてや、日本人の消費活動はシビアですから、結果的に企業がさらに内部留保を溜め込む体制になってしまっているのです。
実質可処分所得を増やすには、株式投資などのお金からお金を生み出す方法を用いて、資産を拡大させていくしか方法は無いのです。
米国企業全体の平均リターンはインフレ調整後で6%前後と言われています。インフレを加味した上でそれだけのリターンを得られると言うことは、米国株へ投資を続けていた投資家たちは着実に資産を拡大させたでしょうね。
アベノミクスの恩恵を受けることができたのは、たったの12%であり、アベノミクスによる大胆な金融緩和の最中においても、日本人の中で投資家の占める割合はほとんど変化しなかったのです。これは日本人が徐々に徐々に貧しくなっていっている原因の一つなのでは無いでしょうか。
金銭的に豊かになりたければ、与えられたものだけに満足するのではなく、自分から能動的に行動することが必要不可欠です。毎日ただただ与えられた仕事をしているだけのサラリーマンでは、誰のミクスが起きようがお金持ちになることはできないと言えるのでは無いでしょうか。