例え米国が『投資大国』だと言っても、投資経験の無い方も当然一定数はいる訳です。そして、そんな未経験者も、株価の好調さを知って株式投資に興味を持つという点においては、日本人と同じ、いや世界共通なのかもしれませんね。
そんな投資初心者、しかも新米デイトレーダーに『1分程度の視聴しやすいハウツー動画』が好評だとブルームバーグが報道しています。

しかも、そのハウツー動画に出演しているのはただの大学生だということで、米国内ではデイトレードがかなりの熱を帯びているのだなということがわかります。
これほど米国でデイトレが盛んに行われている背景には、取引手数料が完全に無料であることを推している株取引アプリ『ロビン・フッド』の影響が大きいでしょう。
完全に手数料無料ですから、1日にどれだけ取引をしても問題ないということで、米国ではゲーム感覚でデイトレードを行う大学生などが一気に増加しました。特に株式投資に対する知識を得ることもなく日々の値動きを追っているだけの彼らは、よく分からないまま一喜一憂しており、知識がないままに取引をした結果、大損をしたと勘違いして自殺する大学生が出てくるなど、米国株取引アプリ『ロビン・フッド』の罪深さは計り知れないのである。

亡くなられた方を悪くいうつもりはありませんが、しかしこれはきちんと『自分が何をしているか』を理解さえしていれば、防げた自殺なのかもしれません。彼の場合は命を落とすという悲劇が生まれてしまいましたが、彼と同様、短期的にお金持ちになることに目が眩み、何をしているか理解していないのに毎日お金が増減しているという市場参加者がこれからどんどん増えていくことでしょう。
手数料無料のアプリは確かに羨ましいですが、こうしたギャンブラーが湧いて出る事を考えると、考えものですね。しかも少しの成功体験をもとに『ロビン・フッド』マスター面してハウツー動画をアップする訳ですからタチが悪い。動画から得られる収入でさらに彼らはデイトレを盛んに行い、そしていずれは大きく火傷することになるでしょう。
まあ、もちろん全員が全員、無知な大学生だと断言するわけではないですし、デイトレーダーの中にも長年培われたカンと経験をもとに生き残り続ける人が居るのは確かです。でも、そんな彼らのショートムービーを参考にして取引を行おうとする、今から始める素人投資家は完全に将来の負け組。カモになる投資家だと言えるのではないでしょうか。
しかし、今から市場に参加しようとする投資家たちは、『普通の大学生でも勝てるなら自分にもできる』と自信を持つらしいです。
この状況に対して、オッペンハイマーのチーフ投資ストラテジスト、ジョン・ストルツファス氏は、1分程度のレッスン動画で得られるノウハウは金融アドバイザーを通じて得られる知識とは大違いだと指摘。「もし庭にガラガラヘビがいるのなら、素足では入らない方がいい」と話したとのことです。
1分程度のショートムービーで得られる知識がどれほどのものかは分かりませんが、確かにこれだけを見て投資を始めるというのは危険極まりない行動ですね。当ブログをお読みいただいている方にそんな無謀な賭けのような投資方法を取るようなかたはいらっしゃらないかと思いますが、もしも動画を見ただけでわかった気になっている投資初心者の方がいれば、そっと手を差し伸べてあげて欲しいものです。
ロビン・フッドの存在は、なかなかジレンマです。こう言った手数料のかからないアプリが世界中に広まれば、もっと手軽にたくさんの人が投資の世界に足を踏み入れてくれるだろうというのは願ってもないことです。
投資がもっと一般的に広まることを望んでいますから、ロビンフッド のようなアプリの日本版がリリースされればなとも思うわけですが、反面、このようなギャンブラーが今以上に増えるのかなと思うと、うーん・・・と首を傾げてしまうわけです。
まずは母数が大きくなることに意義があるんですかね。。。その中から将来の偉大な投資家が生まれるかもしれません。そう考えれば、ロビン・フッドのようなアプリもたくさんの被害者を出しながら成長してくれることでしょう。
私が願うのは、こうした素人投資家が大火傷を負った後、株式投資を恐れて市場に帰ってこなくなるを避けることです。投資の世界では市場に居残り続けることが大切です。失敗から学ぶことの方が多いですし、損失を被ったとしても、彼らが本物の投資を続けてくれることを望むばかりですね。