株式投資の原則として、私は『長期投資』をオススメしていますし、株で大きな資産を築くためには、長期投資は必須だと思います。しかし、長期投資という言葉の意味を改めて考えさせられる記事を発見しました。
長期投資とは本来、その名の通り「投資を続ける」という意味です。それ以上でも以下でもありません。しかし、記事の中では、長期投資が「投資はなるべく長く銘柄を保有しましょう」という意味にすり替わっているように感じると指摘されています。
つまり、長期投資をするということは、株式市場にどれだけ長期間居続けることができるかどうかということであり、例えデイトレーダーであっても、その技術だけで何十年も市場に残り続ける伝説のトレーダーは『長期投資家』だと言えます。
大抵の場合、デイトレーダーは初めのうちは成功してもリスク許容度を超えた取引を始めるとすぐにボロが出て、株式市場から撤退する短期投資家になりうるので、結局はほとんどが短期投資家ということにはなるのですが、デイトレ、スイングトレードなどでも長年投資を続けて、それだけで生活している人がいるのも事実ですよね。
逆に、長期投資を前提として一つの銘柄を保有し続けたとしても、それがいつまで経っても鳴かず飛ばずでは、長期投資というより、現実逃避の『凍死家』と言わざるを得ません。
私自身、つい先日エクソン・モービル(XOM)の損切りというものを始めて体験しましたが、少し一つの銘柄を長く保有することに拘っていたのかなと反省せざるを得ないです。

もちろん、私が売ったタイミングでエクソン・モービルの先行きが一気に悪化したということでもなければ、何かこれ以上のバッドニュースが流れてきたわけでもありません。ただ、改めて計算したところ、私が保有するエクソン・モービル株の平均単価まで株価が回復するには相応の時間が必要になり、メリットだった高配当も今後数年間維持されるかどうかが不明なので損失リスクを回避するために一部売却したのです。
もし、市場の評価がこれ以上悪化して、今よりもっとたたき売られるようなことがあれば、再び買い戻す可能性がゼロとは言えません。市場全体が調整すれば、エクソン・モービルよりも優先して投資したい銘柄はたくさんあるのでまだまだ先のことになるでしょうけどね。
ただ、こうしてその時代や時勢に合わせてポートフォリオを見直しながら株式市場に居続けることが本来の長期投資ということなんだということは改めて認識を合わせないといけないなと感じました。
私自身、10年ほど米国株市場に居続けており、私が投資してきた10年間は概ね米国株にとって順調な10年間だったことが、長期投資の本来の意味をぼやけさせていたように感じます。
例えアップルやマイクロソフト(MSFT)といった今をときめくような大手ハイテク企業でさえ、今から10年後20年後にも世界中の株式市場を牽引しているかどうかは分からないのです。逆に私は、ビザ(V)やマイクロソフトの評価がそれほど高くないタイミングで投資できたからこそ大きな含み益を抱えることができているのだということを改めて考えさせられました。
逆に言えば、100年を超えるような歴史を持ってなお成長を続ける、コカ・コーラ(KO)やジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)などは永遠に保有し続けることができそうな銘柄と言えますし、VOOをはじめとしたインデックス投資は積立投資を続けてこそ意味がありますから、売り払うタイミングなんて存在しないと思います。米国という国が存亡の危機に立たされれば考える必要がありますが、私が生きている間はおそらく米国が無くなることはないかなと思います。
『投資の神様』ウォーレン・バフェット氏ですら、失敗した投資からは潔く撤退しています。それでも80年弱というキャリアを持つバフェット氏はまごうことなき世界一の『長期投資家』でしょう。
長期投資だからと言って、投資先の見通しが悪化したり判断を誤ってしまったと感じれば、持ち株を処分するのは至極当然のことだと言えるでしょう。むしろ、誤りに気づいた時に早めに手放してしまった方が、長期投資家として市場に居残り続ける可能性は大きくなるだろうと言えるのではないでしょうか。
長期投資家として、20年後、30年後も資産を拡大させ続けることができるよう、初心を忘れずに市場に残り続けることだけを考えたいと思います。