『投資の神様』ウォーレン・バフェット氏が会長を務めるバークシャー・ハサウェイ(BRK)が今月14日に開示した資料によるとJPモルガン・チェース(JPM)株を一部売却したほか、ゴールドマン・サックス(GS)の保有もゼロになったことが明らかになりました。

特に衝撃的だったのは、2008年の金融危機時に救いの手を差し伸べる形で投資したゴールドマン・サックス株を全て手放したということです。今年5月にもゴールドマン・サックスの大半を売却していたことが明らかになり、大きなニュースとなりましたが、これでゴールドマン・サックスとは完全に縁を切ったということになります。

リーマンショックのほぼ底値で救いの手を差し伸べたことで、バークシャーもゴールドマン・サックス株でかなりの利益を上げることができたため、ゴールドマン・サックスへの投資は近年のバークシャーによる大型投資の成功例の一つとして知られています。
その象徴とも言えるゴールドマン・サックスや、同じく銀行株のJPモルガン・チェースや、ウェルズ・ファーゴ(WFC)、などを一部手放したという報道から見ると、バフェット氏も金融業界に対しては、見通しが立たないということがわかります。
しかし、そんな見通しが立たない中でも米国最古の銀行であるバンク・オブ・アメリカ(BAC)には追加投資をしていたことも明らかとなっています。

その他にもバフェット氏は、ドミニオン・エナジー(D)の天然ガス事業や、自社株買いをしたことも明らかにしておりました。


それに加えて、今回明らかになったのは、米スーパー大手クローガー(KR)を買い増したほか、カナダの産金最大手バリック・ゴールド(GOLD)も購入したことが明らかとなりました。
金融株をバンク・オブ・アメリカに集中している点に加えて、公益事業や、スーパーマーケット、産金事業に投資をしているあたりを見ると、バフェット氏が相当ディフェンシブな考えを持っていることが伺えます。
実際、ここ最近の米国株市場はマネーゲームで株価が上昇している反面、いまだに実体経済は回復の見込みが立っておりません。明らかに過熱しているように見える現状、追加投資をするにしてもディフェンシブな銘柄にしか投資できないというのが投資の神様の本音なのでしょうか。
私自身も、株式資産の残高は過去最高額を更新する場面もありましたが、あまり積極的に投資できるような場面ではないなと考えてしまっています。
今月は今の所、シスコシステムズ(CSCO)が下落したタイミングで10万円ちょっと投資できただけで、特にこれと言って投資に積極的になれないのが本音です。明日あたり、VOOも買い増ししようかなとは思いますが、個別株は追加投資が難しい場面だと感じています。
さらに、コロナショックの影響でハイテク株のみが目立って上昇するという相場だったのが、少し前からハイテク以外の銘柄や中小株の上昇などが目立つようになってきており、株価の下落がいつきてもおかしくなさそうな雰囲気はあります。それでもちょっとずつ投資しているので矛盾した意見ではあるのですが、警戒しておいて損はないだろうという場面だと考えています。
バフェット氏が少しディフェンシブ寄りの投資を始めたのも、今後数年の米国株市場の弱さを見越してのことなのかな、と感じました。
しかし、それでも米国の成長を心から信じているためにバフェット氏はこれからも優良企業への投資を怠ることはしないのでしょう。特に今年の4-6月期においては、ハイテク銘柄に資金が集中していたために、他のセクターに投資するには絶好のチャンスだったのかもしれません。
私も新規投資を考えている銘柄があるのですが、なかなか希望の株価まで下落してこないために、ずっと待っている状態です。もしかしたら今年に入ってからずっと待ってるかもしれません。
もちろんその間も他の銘柄に投資をして、現金を必要以上に眠らせないようには気を付けていましたが、本当に欲しい銘柄は、チャンスが訪れるまで、じっくりと待ち続けるというのも良いかもしれませんね。
ある程度の現金比率をキープしつつ、株価の暴落を警戒しながらコツコツ投資をしていくのが今の株式市場においては正解なのかもしれません。
バフェット氏は少しずつ守りに徹したポートフォリオを作成しているようです。『投資の神様』の動向はこれからも決して無視できるものではないと、私は思います。