週刊エコノミストに面白そうな記事が掲載されているのを見つけました。

元HSBC証券会社社長の立沢氏によると、『金銭的な不安から逃れたいならお金持ちを目指してはいけない』ということです。
身の丈以上のお金を持ってしまったがために、人格が変わったり、お金によって人生が狂わされるという事例が多いことが調査によって明らかになっているようです。
世界中で巨額の宝くじが当たった人達の追跡調査をすると、早死にしてしまったり、家族がバラバラになってしまったり、犯罪に巻き込まれてしまったり、と不幸な末路になる比率がかなり高いことが判明した、と言われています。
中には、日本では見られないような巨額の宝くじに当選しながらも変わらない生活を送り続ける人もいらっしゃいます。

でも、それがニュースとして取り上げられ、海外でも報道されるくらいですから、実はかなり珍しいケースだということがよく分かります。ニュースで報道されていることは全国に知らされるため、それが当然のことであるように勘違いされがちですが、めったに起こり得ない”珍事”だからこそニュースになるのですからね。
ともかく、突然宝くじという幸運によって巨万の富をもたらされた人たちは、ほとんどのケースでは有り余るお金を浪費する人生にシフトチェンジしてしまい、数億円単位のお金を使い切った後も浪費癖が抜けず、多額の借金をしたり、自ら命を絶つなど、あまり幸せな最期を迎えることはないようです。
以前、2ちゃんねるの元管理人であるひろゆき氏も、『お金持ちになりたい』と主張する人のほとんどは、お金持ちになりたい訳ではなく、『お金の心配をすることなくお金を使いたい』と言う人が大多数だと発言しておりました。

まさにその通りであり、お金持ちになりたいななどと漠然に話す人々は大抵、お金の稼ぎ方よりお金を使うことしか考えておりません。そういう人が大半だからこそ、宝くじの当選によって人生を棒にふるケースが多いのでしょう。
強欲な人がお金を持つと、もっと強欲になります。
寛大な人がお金を持つと、もっと寛大になります。
結局、私の持論では、お金を持たないのがベストです。
立沢氏は、必要以上のお金を持たないことが結果として金銭的な不安から逃れるための手段であると説いています。金銭的な不安を感じるということは、いつ手元からお金が無くなるのか分からないという不安に苛まれている状態だと言えます。
例えば、宝くじで3億円当たっただけの人であれば、本来その人自身に3億円を一瞬で稼ぎ出すだけの能力が無いことはご本人が一番よく分かっているはずなのです。だからこそ、3億円が銀行口座から徐々に減っていくのを見て不安と焦燥感を感じるようになる訳です。
だからこそ、立沢氏は、『持つべきものはお金ではなく長期運用資産』であると主張しているのです。
定期的な収入であれ、臨時的な収入であれ、お金が入ってきたときにその全額を使い切るという生活をしていては、一生金銭的な不安から逃れられないということはお分かり頂けるかと思います。
だからこそ、収入の一部と臨時収入は使わずにとっておいて、その資金をもとに長期運用資産を買い集めていくのです。
そうすると、いくら収入が一時的に高まったとしても、生活水準が引き上がるということはありません。例えば長期運用資産の一つである株は、それを持っているだけでは、きらびやかな宝石や、高級車はもちろん、牛丼1杯だって買うことは出来ませんからね。
ですが、株を保有していると、それだけで企業の利益の一部を還元して貰える権利を有する事になるのです。
きらびやかな宝石や高級車・牛丼を人々が消費する裏で、それらの企業が稼いだ利益を分配して、配当金という形で受け取ることができるのが、株を保有している者の特権です。
そうして収入の一部をとっておく事で買い集めた株の評価額が3億円を超えた暁には、きっと宝くじで3億円をたまたま当てた人とは違い、金銭的な不安からはとっくに解放されている事だろうと思います。
3億円の株式資産の配当利回りが3%ほどあれば、それだけで年間900万円の収入を得ることができますし、何より彼らは生活水準を一切引き上げることなく3億円の資産を築き上げた訳ですから、まぐれ当たりの高額当選者とはマネーリテラシーの地盤が違います。
私は常日頃から「お金を遊ばせるな。お金には汗水流して働いて貰うのが一番」と申し上げています。普通預金口座でぬくぬくと遊んでいるお金を見ると腹が立つほどです。
立沢氏がこう主張するように、我々は自らの生活水準を必要以上に引き上げることなく、余剰資金に働いてもらう事で、自分一人だけの力では到達し得ない資産を築き上げることができるのです。
浪費のことばかり頭の中にある、宝くじの高額当選者との一番の違いはそこにあります。金銭的な不安から生涯解放されたいのであれば、あなたは今すぐにでも長期運用資産を買い集めることを始めるべきだと言えるでしょう。