大和証券、日興証券、野村證券と、日本を代表する大手証券会社を渡り歩いた証券マンの原田茂行氏は、ご自身の投資の成功を『父の反面教師』と語っておられます。

この度上梓された『株オタクの現役IFAが指南!本当に儲かる「株」講座』では、証券マンとしてのノウハウが記載されていると言うことです。
元証券マンの原田氏は、「証券会社を信用してはいけない」と警告しており、証券会社の暴露話も盛り沢山だとのことです。
そもそも証券会社は、証券マンに対して高額の給与を支払うなど、人件費が相当かかる業界だと思います。景気に左右される業界でもありますが、総じて高収入の業界だと言って過言ではないでしょう。
その高額の収入を支えるために、証券会社が相当な手数料を中抜きしているだろうと言うことは少し考えれば分かることです。証券会社の言いなりになって株取引をしているだけでは、絶対に資産形成をすることはできないと断言することができます。
そんな暴露話を明らかにしてくださる元・証券マンの原田氏が株に興味を持ったのは、彼の父の株取引による失敗が背景にあるようです。
彼の祖父が鉄工所を経営しておられたようですが、1960年ごろに一時的に倒産の危機にさらされたことから、祖父の鉄工所で働いていた原田氏のお父様も窮地に追い込まれたそうです。
その後、難を逃れたものの、バブル絶頂期に結局鉄工所を売却。お父様が退職金として2億円を手にしたことが、転落の始まりだったそうです。
父の投資方法はいわゆる「逆張り」でした。株価が下落してきた銘柄を買い、1割上がったら売却する。これを繰り返し小さな利益を積み重ねていく手法です。1株500円に満たない低位株で多く取引していました。
バブル崩壊後、株価がどんどん下落していく中で、保有株が倒産し紙屑になることも何度かあったようです。当初は現物取引をしていたようですが、2000年あたりから信用取引にも手を出してしまうように。2004年にネット証券で口座を開いてからは、いわゆるデイトレーダーのイメージ通り、株式市場が開いている間はずっとパソコンの前に張り付いていると言う生活を始めたようです。
しかし、株にのめり込めばのめり込むほどに、資産は減少していったと言います。彼のお父様は、株式取引でリターンを得ると言うよりは、もはや『株オタク』と化してしまっていたようです。
お父様の逆張り手法には大きな欠点があり、利益確定の水準は決めていたにもかかわらず、デイトレードでは必須の『損切り』のラインを決めていなかったことです。少額でも利益が出せたものはすぐに売却し、損が出ているものは売却せずそのまま放置というチグハグな取引をしていたのです。
言い換えれば、利益確定の時はデイトレのように、含み損を抱えると突然、長期投資のように投資をするというブレブレの手法だったという訳です。
これでは長期的に見れば損失を抱えるのは当然ですよね。デイトレは小さな利益を積み重ねる手法ですから、損失も小さい段階で切り捨てることでなんとかプラスにしようとしています。
逆に長期投資では、含み損が大きくなっても関係なく、保有し続け、時には買い増しをすることで次の株価の回復時に大きなリターンを得るということを目的としています。
そう考えれば、デイトレと長期投資のデメリットを合わせたような手法が彼のお父様の取引手法だと言えるのではないでしょうか。
デイトレをするのであれば、やはり損切りの水準を決めておくというのが必要だったようですね。
ですが、本来あるべき投資方法は『長期投資』にあたるはずです。そもそも長期投資を前提とするのであれば、『損切り』の水準を考える必要もなく、そもそも投資先として的確かどうかを投資する前にしっかりと吟味し、元々想定されるシナリオ通りに事業が順調であれば日々の株価に一喜一憂するのではなく株を保有し続けるのが正解です。
そもそも、日本の『低位株』と呼ばれる株価が極端に安い企業は、投資冥利がないから安値で放置されている訳であり、ちょっとした良いニュースで株価が一瞬だけ数倍に吹き上がるということもあり得ますが、それを期待した投資方法は完全にギャンブルと言えるのではないでしょうか。
結果的に誤ったデイトレードで2億円ものお金を失ってしまったお父様を反面教師に、証券マンとして原田さんは成功された訳ですから相当高くついたものの、勉強代となったのではないでしょうか。
デイトレード損失を被っている人たちには、一度自分の投資手法を見直してみることをオススメいたします。
本来の投資手法とは、株式会社の未来の成長を見据えた長期投資が正解なのですから。