昨年の夏頃は、日本全国で行列ができていた、『タピオカ屋』ですが、今年に入って一気にブームが終焉したなという雰囲気があります。
『タピオカが流行ると景気が悪くなる』なんていうアノマリーがありましたが、今年に入って景気が悪化し始めたことから見ても、すごい的中率だなと感じています。

今回はそんなブームだったタピオカ屋の開業に店舗を貸した不動産経営者の訴えが記事となっておりました。

不動産店経営・冨田祐一さん(仮名)の元に、昨年の春頃、自身が保有する空き店舗でタピオカ屋をやりたいという話が舞い込んだと言います。
「タピオカ屋をやると言ってね、当時流行っていたでしょ? Xがコンサルしてる飲食系の社長が、うちの物件でタピオカ屋をやるんだって。4坪でも、とにかく安けりゃいいというから、全然借り手のつかない物件を格安で貸したんだ。家賃は10万円だったのを8万円に下げて、補償金もかなり下げた。2年は借りたいって言ってくれたからね。信用したんだよね……」
昨年の春頃といえば、確実にタピオカブームのピークであり、都内であればどこにでもタピオカドリンクを扱うお店がありましたし、大手チェーンも参戦するという一大ブームを引き起こしていました。
そのタイミングで、いつまで続くか分からないブームに参入する時点でかなりの後発組と考えられるのですが、冨田さんは借り手がつかない店舗を家賃を下げてまで貸してしまったそうです。
そうしたブームのピークに乗っかってくるコンサルタントは、不誠実な人が多く、今回のコンサルタントもその類いだったようです。2年契約をしていたその店舗では、すでに毎月の家賃を支払うだけの能力がなく、未払い状態が続いていると言います。
冨田さんも経営者もこのコンサル業者に『騙された』形にはなったものの、この二人にも全くの非がないという訳ではなく、冨田さんは借り手がいない店舗ということで賃貸の審査が甘くなっており、経営者の方もそもそも事業計画が甘すぎたということがあり、騙されやすい人々の条件をしっかりと満たしてしまっていたのです。
そもそも不動産業を運営するのであれば、借り手がつかないような負債店舗は、なかなか手放せないですし、購入前にしっかりとリサーチをすべきだったと言わざるを得ません。
私も不動産投資に興味が出てきており、色んな物件に目を通したりしているのですが、なかなか簡単に『これは!』と思えるような物件には巡り合えておりません。資料を請求して、手数料や管理料、税金などを考慮してキャッシュフローを計算すると、明らかにマイナスになる案件がほとんどです。不動産投資は『良い業者と知り合いになる』ことが大切だと言うのは正しいのだろうと思います。
しかもそれは、ちゃんと稼働してキャッシュインがあるという前提ですので、そもそも借り手がつかないような物件は、ローンと税金を奪っていく負債にしかなりません。そんな状況ですから、借り手がいれば多少怪しくても貸し付けて収入を得たいという気持ちも分からなくはありません。
ですが、急いで貸し付けをした結果、家賃を回収することができないという悲惨な結果となってしまうのです。
不動産投資も株式投資も、結局一番重要なのは、『何に投資するのか?』と言う選択の段階なのだと感じます。
投資する前に、きちんと投資対象をリサーチし、収益性が見込めるのかどうかを検討した上で投資すると言う当たり前の行動が出来ていないと、こうして長きに渡って苦労してしまう結果となるのです。
自分の虎の子の資金を投じる訳ですから、収益を得られるかどうか分からないような案件には一円ですら資金を投じるべきではなく、特に不動産投資はすぐに手放せるようなものではありませんので、流動的な株式よりも、なお慎重に投資判断をしなくてはいけないでしょう。
不動産や株式だけではなく、ありとあらゆる投資対象に言えることですが、一時的なブームに乗っかろうとするのであれば、その裏に隠されている損失リスクを考慮して、判断することが賢明だと言えるのではないでしょうか。