ブルームバーグによると、米大手公益企業のドミニオン・エナジー(D)が、天然ガスパイプラインと貯蔵資産の全てをバークシャー・ハサウェイ(BRK)に40億ドルで売却するとともに、同事業にかかる債務57億ドルも引き受けることを発表しました。合計97億ドルのお買い物は、現在の日本円に換算すると、約1兆円にも及ぶ大型買収となる予定です。

ドミニオン・エナジーは、前身の会社を含めると、1787年に創業と歴史は古く、米国の歴史とそんなに変わらないほどの老舗の大手エネルギー企業です。その事業内容は、電力・天然ガスなどエネルギーの生産と輸送で、米国内のパイプラインとなっており、安定性は抜群です。
また、同社のように公益事業株は、多額の設備投資を必要とする性質上、他社の参入障壁は高く、ワイドモートな事業を有する企業と言えるのではないでしょうか。
ただ、その莫大な設備投資の影響もあり、フリーキャッシュフローがマイナスとなることが多く、キャッシュフローでは測りづらい企業となっております。しかし、公益株はフリーキャッシュフローがマイナスとなることも珍しくないので、同業他社との比較にはフリーキャッシュフローは気にする必要がないのかもしれません。
公益株という性質上、本来であれば配当収入をメインとするインカムゲイン投資向きの企業であると言えるのですが、ドミニオン・エナジーは比較的安定的に株価も成長していると言えるでしょう。

もちろんハイテク株のような爆発的な株価の上昇は見込めませんが、米国は安定的に人口が増加している国ですから、売上・利益ともに徐々に増加するだろうと思います。
そんなドミニオン・エナジーが天然ガス事業を売却するというのは驚きですね。バークシャー・ハサウェイにも傘下に公益・エネルギー事業会社を有していますので、ドミニオン・エナジーの買収によってどんなシナジーが生まれるか楽しみですね。
バークシャー・ハサウェイは、最近リターンが悪化しており何かと批判を受けることが多いですが、このタイミングで公益事業の買収をするあたり、バフェット氏らしい、周りの雑音を気にしない投資判断だと言えるでしょう。
公共事業はその性質上、『不況期』にその真価を発揮する企業です。バフェット氏にとってはこれから数年間にわたって不況が本格化する可能性が高いとみているのでしょうね。景気敏感株である航空・金融株をこぞって売却したことからも、バフェット氏の投資判断は、「これから不況が来るぞ!」という視点で全くブレていない事が窺えます。
バフェット氏の投資判断が正しいのかどうかは分かりませんが、『投資の神様』の動向を見ていると、結局は周りの雑音に流されず、自分の行動を一貫することが大切だということがわかるのではないでしょうか。今後のバークシャーの投資判断も注視していきたいところですね。