AFPの報道によれば、米国の著名なアーティスト、カニエ・ウエスト氏が今年の大統領選に、現職のドナルド・トランプ氏の対抗馬として出馬することを表明したということです。

敬虔なプロテスタントとしても知られるカニエ・ウエスト氏は、自身のTwitterで
「われわれは今、神を信頼し、われわれのビジョンを統合し、未来を築くことで米国の約束を果たさなければならない。私は米国の大統領選に立候補する! #2020VISION」と投稿し
と投稿し、今年の大統領選への出馬を表明したのです。
We must now realize the promise of America by trusting God, unifying our vision and building our future. I am running for president of the United States 🇺🇸! #2020VISION
— ye (@kanyewest) July 5, 2020
大統領選まであと4ヶ月しかなく、立候補をしていた他の候補者が既に撤退を表明していたのが今年の始めですので、今から立候補して果たして間に合うのかどうかは不明ですが、もし本当に出馬したらと考えると、ある意味面白いですね。
カニエ・ウエスト氏が仮に出馬しても『イロモノ枠』であることには変わりありませんが、最近絶好調のテスラ(TSLA)のCEOであるイーロン・マスク氏も、カニエ・ウエスト氏の後援を買って出るなど、かなりのビッグネームが動いているようです。
少なくとも昨日行われた東京都知事選の酷すぎるイロモノ枠とは比べ物にならない、イロモノ枠となるのではないでしょうか。
カニエ・ウエスト氏は以前から大統領選に興味を示しており、遡れば2015年頃に「2020年の大統領選に出馬する」と表明していたことがありました。ですが、ドナルド・トランプ氏の当選を受けて、「2024年へ出馬をずらす」ことも表明していたのですが…今回、突然の出馬表明を示したということです。
選挙活動や、実際に出馬の手続きを進めたのかなど、記事を執筆している段階では何も分かっていない状態なのですが、彼が実際に出馬をするとなると、どうなるでしょうね。見当がつきませんが、黒人票がカニエ氏に流れるため、バイデン氏有利とされていたのが無効となるかもしれません。
さすがにカニエ・ウエスト大統領という事態にはならないでしょうが、前回の大統領選でも、イロモノ扱いされていた不動産王、ドナルド・トランプ氏が最終的には大統領となってしまったのですから、大統領選は何が起こるのか分からないのです。
実際にカニエ・ウエスト氏が当選してしまった場合のこともシミュレーションしておく必要がありそうですね。
カニエ・ウエスト氏は、アーティストとして大成功しており、当然彼も大富豪の仲間入りを果たしております。そんな彼が投資家を軽視するような政治を行うとは思えません。
ですが、トランプ氏が与する共和党と対立するということは、カニエ・ウエスト大統領が実現すれば共和党が与党ではなくなるということにはなります。
米国には共和党と民主党という2大政党があり、一般的には『保守的な共和党』と『リベラルな民主党』という対立の様相を見せています。リベラルという言葉からは、自由主義的ないかにもアメリカンなイメージを受けますが、米国においてはなんだか少しややこしいことになっています。
共和党が主張する『保守的』というのは、変化を求めない、現状維持的なイメージを受けますが、彼らが守ろうとしているのは、『米国の文化』であり、『米国という偉大な国』であります。
トランプ氏の『アメリカファースト』という言葉からもわかるように、力強い米国、かつての米国を復活させ、米国の自由主義、平等な民主主義的思想を守り続けようというのが共和党の大まかな方針だと考えています。
一方の民主党が掲げる『リベラル』な風潮は、米国が大恐慌に陥った1930年代に生まれた思想なのです。
大恐慌以前に米国に植え付けられた自由で自己責任的な思想では大恐慌から脱することはできず、市場や自己責任の原則にのみ基づくのではなく、政府が積極的役割を果たすことが必要だとの立場から、今までにない思想=革新的ということでリベラル派を名乗り出したのがきっかけです。
リベラル派の発端となった、『ニューディール政策』を推進した当時の大統領、フランクリン=ルーズベルト氏も民主党政権でしたし、トランプ氏の前任のバラク・オバマ氏の時代も民主党政権でした。
この二人の活躍ぶりから分かるように、米国における民主党、つまりリベラルとはどちらかといえば社会主義寄りの欧州における『社会民主主義』に似たような思想だということです。つまり、米国においては、保守派とリベラル派の意味合いと、それぞれの与党が目指す政治とは真逆とも言えるんですよね。
そして、オバマ氏の在任中は米国株の成長も緩やかだったことから、株式投資家にとっては、民主党政権はあまり歓迎されるものではありません。
話は戻りますが、カニエ・ウエスト大統領が仮に実現するとした場合、おそらく民主党からの出馬となるだろうと思います。共和党と民主党以外の少数派の政党では2大政党に立ち向かうことは出来ませんからね。
でも、既に民主党の候補がバイデン氏になる流れですからやっぱりカニエ・ウエスト大統領は今回はまず見ることができなさそうですね。
本来、大統領が誰になろうが長期投資に向いている優良株は買い増しをしたりする対象であり、決して狼狽売りするものではないと言われていますが、やはり株式の成長を見るのは楽しいですよね。
日本在住の日本人ということで、米国大統領選挙に投票はできませんが、これからもできれば共和党による政治が長く続き、米国の右肩上がりの成長を後押ししてくれるととても嬉しいです。