東京商工リサーチの調査によると、2020年上半期(1~6月)に早期退職や希望退職を募集した上場企業は41社に上り、前年同期(18社)から2・2倍に増えたとのことです。

上半期で40社を超えたのは、リーマン・ショック後の10年(66社)以来、10年ぶりとなり、改めて景気悪化の影響が大きいことが明らかとなりました。
日本は米国とは違い、正社員であれば、とりあえずの雇用は保証されます。簡単にはクビにできないようになっています。
しかし、従業員がどうしてもと、希望するのであれば退職することは可能であり、ここ最近では大体45歳以上の従業員に対して希望退職という名の事実上のクビ宣告を活用している企業が多いです。
私の知り合いが勤める、とあるメーカーでは、コロナの影響に関わらず業績が悪化しており、メーカーとして肝心な開発・技術系の従業員全員に早期退職を推奨し、その大半が実際に希望退職でクビとなったようです。
当然それにより開発力・技術力は一段と低下。元々技術力だけでなんとか生き残っていたにも関わらず、その技術力まで失われたその会社は完全に風前の灯となっているようです。
早期退職の募集対象は大体40代以上の働き盛りの社員であることが多いので、企業としてもあまり連発すると自ら首を絞める結果になるのですが、従業員側もうかうかしれはいられません。
表立ってクビにはできませんが、希望退職・早期退職の対象となった時点で、かなり高い確率で『自主退職せざるを得ない状況』に陥るようです。
もう1年以上前に書いた記事ですが、苦境に陥った東芝(6502)も希望退職に応じなかった社員にはまともな労働環境を与えなかったことが話題となりました。
【悲報】東芝(6502)、苦境を支えた社員に酷い仕打ち。希望退職に応じなかった社員を「追い出し部屋」に閉じ込める。
まともな労働環境を与えなかったというか、そもそも希望退職を募っている時点で、今までと同様の仕事が無くなっている訳ですから、仮に希望退職で誰も辞めなかったとしても、他の全く関係のない部署に異動させられてしまう可能性も大いにあるのです。
実際、知り合いのお話だとそのメーカーでも希望退職に応じなかった人たちは、地方の工場へ飛ばされ、開発などとはおよそ無関係の配送作業に従事しているそうです。
まあ、元々物が売れないので配送作業もほとんどなく、今までと違って残業をする余地もないそうです。
その会社のとある技術者は、40代半ばにして地方へ転勤になり、単身赴任しているにも関わらず、仕事は定時上がり。飲みに行くお金もなければ土地勘もなく、一人暮らしの自宅に帰るだけの生活に耐えきれなくなり、程なくして彼は自主的に退職をしてしまったということです。
このように希望退職・自主退職の候補となってしまった時点で、その会社では満足のいく仕事ができない状況になってしまうのは仕方のないところかもしれません。そのまま大量の従業員を抱え込んでいて倒産ともなれば、全社的に職を失う人で溢れかえってしまう訳ですからね。
日本では雇用が守られているとは言え、『終身雇用』が非現実的なものと再認識された昨今では、いつまでも会社にぶら下がっていられると思う方が危険な思想と言えるでしょう。
だからこそ我々は、少しでも若い間に投資を通じて資産形成を行い、会社以外からの収入源や資産の確保を急がなければならないのです。今の40代以上が淘汰されれば、次は30代が対象となる可能性も否定できません。そればかりか、年齢を重ねることを止める術はありませんので、今30歳の私も10年後、15年後には早期退職・希望退職の対象者となり得る訳です。
実際に将来のことを考えていない状態で、突然10年後に早期退職通知を受け取ったと考えれば、とても恐ろしいですよね。
そんな恐怖体験をしたくはないですから、私は10年前から投資を継続してきました。幸い過去10年は株式市場が好調だったこともあり、今のところ順調に資産を拡大することに成功しました。
今後も同様の成長性が期待できるかと言われると微妙なところですが、着実に追加投資をすることで、45歳までに1億円を超える株式資産を形成することが私の当面の目標です。そして今のペースで資産が増加すれば、達成可能だということも分かっています。
過去の株価の動きが未来の値動きを保証するものではないのと同様、今から投資を初めても同じくらいのリターンを得られるという保証はありませんが、それでも投資をして資産形成を始めなければ、突然職を失ってしまうというリスクがないわけではありません。
今から15年後であれば、今回のコロナショックによる景気後退が底をうち、再び景気が回復し始め、ちょうど次の景気のピークにあたる時期になる可能性も否定できません。我々世代が次の景気後退期に早期退職者としてふるいにかけられた時も、慌てず騒がず円満退職ができるように、今からでも準備をしておくことはリスクに対する回答としてベストな選択と言えるのではないでしょうか。