CNNの報道によると、米アマゾン・ドット・コム(AMZN)を率いる世界一の富豪ジェフ・ベゾス氏の資産総額が1720億ドル(約18兆5000億円)に迫り、過去最高を更新したことが、ブルームバーグの長者番付で明らかになりました。

ジェフ・ベゾス氏と言えば、昨年始めに自らの不倫が発覚。その後離婚協定が正式に認められ、元妻のマッケンジー氏へ、保有するアマゾン・ドット・コム株の25%、当時の時価でおよそ4兆円分を財産分与したことが大きな話題となりました。
自らの過ちとは言え、不倫が大きな代償を生むという当たり前のことを体現してくれたジェフ・ベゾス氏ですが、離婚騒動があった2019年のアマゾン・ドット・コム株のパフォーマンスは著しく悪化し、ジェフ・ベゾス氏をアマゾン創業当初から公私ともに支えていたマッケンジー氏を失ったことは大きな代償だと市場参加者は考えていました。
しかし今年に入り、新型コロナウイルスの蔓延が世界的規模になったことで、経済活動を完全にストップさせるロックダウンが実施されるなど、過去に例を見ない政策が取られる緊急事態となりました。
その影響もあり、通販サイトの需要が爆発的に増加。もともと世界中でシェアを獲得していたアマゾン・ドット・コムは決して割安とは言えない状況からさらに株価が急騰。連日最高値を更新し、もうすぐ3,000ドルに達しようかというほどの好調さを見せています。

今年の初めには2,000ドルを割っていたアマゾン・ドット・コム株は今年に入ってから52%の上昇を見せており、ジェフ・ベゾス氏は自らの過ちゆえに『損切り』してしまった保有株の4分の1の減少分を、株価の上昇で相殺することに成功したようです。
ジェフ・ベゾス氏同様、マッケンジー氏も順調に資産を増やし、過去最高の570億ドル超えとなりました。これは、長者番付に掲載されている女性資産家としては、ウォルマート(WMT)創業者の長女であるアリス・ウォルトン氏を抜いてトップとなるのではないかと見られます。
長年連れ添って、アマゾン・ドット・コムの黎明期から二人三脚で事業拡大してきたお二人が離婚してしまったというのは、非常に残念だなと考えておりましたが、アマゾン・ドット・コムの企業価値はそんなことはお構いなしに拡大し続けています。
アマゾン・ドット・コムは、いまだに今後の成長性を期待されるグロース株の代表で、投資家たちの高すぎる期待を四半期ごとに常に超え続けなければなりません。そしてそれを実行し続けてきているからこそ、史上最高値を更新し続け、創業者と元妻の資産を爆発的に増加させ続けることができるのでしょう。
フォーブスの長者番付を見ると、結局は創業者として有望なビジネスモデルを構築し、自社株に集中投資して高成長を維持し続けるという王道にしてハイリスクハイリターンな手法が一番強いのかなと思いますね。
創業者最強説は、『GAFAM』の中で最大の時価総額となりながらも、フォーブスの長者番付トップ30に一人もランクインしていないアップル(AAPL)を見れば納得いただけると思います。
やっぱり創業者として様々な困難に立ち向かいながら資産を拡大させてきた情熱と才能があふれる人々がお金持ちになるべくしてなったというのは資本主義的で素晴らしいことだと私は思います。
そして、ジェフベゾス氏が長者番付のトップにいるということは、非常に意味のあることで、真のお金持ちは『資産をお金として持っているわけではない』ということを表す象徴のような存在だと言えるでしょう。
ジェフ・ベゾス氏は当然ですが、無配のアマゾン・ドット・コムから、1セントの配当金を受け取ることもなく、世界一の資産家になることができたのです。
長者番付2位のビル・ゲイツ氏に関しても、自身がCEOを勤めていた頃には配当金を出さずに成長性を追い求めていましたし、同4位のウォーレン・バフェット氏が率いるバークシャー・ハサウェイ(BRK)も過去に一度だけ配当金を分配しましたが、バフェット氏曰く、「配当金の支払いが株主総会で可決された時、私はトイレにでも行っていたんじゃないか」ととぼけるほど、配当金の支払いではなく、バークシャーの企業価値を高めることで株主に還元しようとしてきました。
グロース株の成長は、『将来の配当金への期待』も含まれていますから、投資家がいつかは配当金を出してくれることに期待するのは当たり前ですし、高配当株、連続増配株が魅力的なのも否めません。私もそう言った銘柄を好んで投資していますからね。
ただ、いただいた配当金をいつまでも口座に眠らせておくほど私は甘くありません。私の『従業員』である現預金を様々な優良企業へ『派遣』することで私はその収益を更なる配当金という形で受領しているのです。
創業者たちとは手法が違いますが、お金をお金として保有しておくつもりはあまりありません。今は臨時収入などの増加に伴い、現預金がポートフォリオの1割程度まで増加してしまいましたが、やっぱりお金を寝かせておくのはあまり意味のないことだと考えています。
長者番付の上位に位置する起業家たちと同様に、我々投資家も資産を増やしていくためには、許容できる範囲内で最大限のリターンを得るため、自らリスクを伴う行動を取るべきだと言えるのではないでしょうか。