年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は3日、2020年1―3月期の赤字運用額が17兆7,072億円だったと発表し、収益率はマイナス10.71%となったことを明らかにしました。

今年の1月から3月期は、投資家にとって大変厳しい時期となり、NYダウは3月末日の時点で年初来24%の下落、日経平均も18.4%の下落となっていたため、マイナス10.71%と言う運用成績は、かなり健闘した方だと感じますが、やはり大半のバカな日本人は、「我々の年金がGPIFのギャンブルで17兆円も消えた!」と騒ぎ立てるのです。
昨年12月末時点では総資産額170兆円近くまで膨らんでいたのが、今年の3月末時点では150兆6,332億円に縮小したことになりますが、いまだに累計収益は57.5兆円となっており、年率2.58%の収益を上げているのが現状です。

2.5%はあまり褒められたリターンではないですが、年金の運用ということで債券を多めに組み込んでいることが成長性を低くしている反面、株価の暴落時にもストッパーの役割を果たしているのです。それでも長期的に見ればしっかりと利益を上げているのは事実ですので、GPIFが資産運用をしていなかった場合を考えると、今以上に年金の財源に困っていたことだろうと私は思います。
しかし今回、私が顕著に感じたのは、GPIFの運用実績に対する『メディアの反応の違い』です。
例えば冒頭にあげた朝日新聞では、記事の末尾をこう締めている。
収益状況の一時的な悪化について、宮園雅敬理事長は都内で記者団に「大変重く受け止めている。長期投資家としてコロナの中長期的影響を見極めていく必要がある」と述べた。
朝日新聞の取り上げ方を見ると、まるで何か罪を犯し、それに対する謝罪会見でも開いたかのような取り上げ方をされています。
一方、ブルームバーグでも、同じくGPIFの話題が取り上げられていました。

ブルームバーグでも、過去最大の運用損に触れながらも、同記事の末尾ではこう締められていました。
しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹運用部長は「この期間のマイナスはしょうがない。予想通りという感じ」としたうえで、「3月から株も戻っているので4-6月は国内、海外株式で取り戻せているはず」と分析した。
どうですかね?お分かりいただけたでしょうか。
全く同じ報道内容にもかかわらず、国内メディアの朝日新聞より海外メディアであるブルームバーグの方明るい内容というか、前向きに捉えられる書き方になってますよね。
こう言うところが、メディアの偏向報道だと私は思います。もちろんメディア各社がどのような判断で記事をまとめるのかは、当然社風によって違うのかもしれませんが、日本の出来事にもかかわらず、その本質的なところを取り上げられているのは、日本のメディアである朝日新聞よりもむしろ、海外のブルームバーグではないだろうかと私は思いました。
日本のメディアながら、日本に否定的なご意見が多い朝日新聞と、日本のことを平等に記事に取り上げることができる海外メディアとの違いというふうにも捉えられますね。とにかく海外メディアの方が、まともなことを言ってるなと感じました。
こういうふうに自国を叩くだけ叩くマスメディアがのさばっているのも、日本人が間に受けてしまうからです。GPIFが四半期ベースで運用益がマイナスとなったからと言って、メディアの発表する数字だけを信じて叩いているようじゃ、まだまだファイナンシャルリテラシーの高い人とは言えないのではないだろうかと思った次第です。