日本フードサービス協会が発表している協会会員社を対象とした外食店舗の売上高(約3.8万店)は、4月度に前年同月比39.6%減と歴史的な減少率を記録したということです。

5月度以降はピーク時よりも回復の兆しが見えているものの、いまだに座席稼働を6~8割に抑える外食店が多く、いちよし経済研究所の見解では、外食店舗のイートイン(店内飲食)の売上高が本格回復するには時間がかかるとのことです。
そんな逆境の中でも、4月と5月の外食各社の既存店売上高をみると、テイクアウト、デリバリーに力を入れてきた会社の既存店売上高は底堅い展開となっています。
日本マクドナルド(2702)も底堅さを見せた企業の一つであり、外食店舗が歴史的な減少率を見せた4月度の既存店売上高が6.5%の増加を見せたことが話題となりました。

客数は前年同月比18.9%減少した一方、客単価は31.4%増と大幅に伸びたことにより結果的には売上高が成長するという快挙を達成しました。
日本マクドナルドでは、海外ではすでに導入されていたスマートフォンアプリを導入していたことにより、店舗での待ち時間を短縮できるだけでなく、キャッシュレス決済も全国的に展開していたことで、テイクアウトでの需要がかなり多く、店舗の営業が停止していたのをカバーできるほどでは無いものの、テイクアウト・デリバリーという大きな市場でも存在感を放っていたことが判明しました。
話は変わりますが、最近はデリバリー系のスマホアプリもたくさん出てきてますよね。ここ数ヶ月で、我が家のポストには、新しいデリバリーアプリの初回利用割引クーポン付きの葉書が投函されることが増えたように思います。
割引という言葉に釣られてアプリをダウンロードしてみるのですが、あまり使い勝手が良さそうなアプリではないのですぐに消してしまいます。とは言え、こういうアプリが乱立しているあたりに、デリバリーとITの相性の良さが再認識されているように感じます。
デリバリー自体はかなり昔からある業種であり、真新しさはありませんが、ネット注文、ネット決済、という新たな選択肢が広まったのはコロナショックによる購買行動の変化がもたらした思わぬ功績と言えるかもしれません。
さて、そんな思いもよらなかったプラスの恩恵を大きく受けることができるのが、以前からITに力を入れていたマクドナルドではないでしょうか。
前述の通り、マクドナルドはテイクアウト中心の事業へと移行せざるを得ない状況においてもかなりの強みを見せました。世界中どこに行ってもマクドナルドは存在していますし、マクドナルドの提供する料理の味は、おおよそ想像することができます。
外食産業の王様と言われるほどのマクドナルドですが、誰しもが簡単に味を想像できるほど広まっているというのは大変大きなメリットです。デリバリーで現物を見ずに注文するとなると、全くよくわからない料理だと注文するのに勇気が要りますし、だいたい想像できる料理でも、いざ食べてみると思ったのと違う…という経験はあるのではないでしょうか。
その点、マクドナルドの代表的なメニューは誰でも味が想像できるため、期待値から大きくぶれることがほとんどありません。
だからこそデリバリーやテイクアウトでもマクドナルドは一定数の固定ファンに支えられていると言えるのではないでしょうか。
もしコロナが収束したとしても、大手の飲食業界は、デリバリーやテイクアウトサービスを止めるわけではないでしょうから、今までも、これからも、IT技術の向上に力を入れていた、外食産業の王者の力は衰えることはないと言えるでしょう。
マクドナルドはこれからもIT技術の向上に努め、投資家にも顧客にも笑顔をデリバリーしてくれる優良企業であり続けると言えるのではないでしょうか。
新型コロナウイルスの影響は、それまでの概念を根本から変えうる可能性があります。しかしそう言った変革に対応できるだけの莫大な資金力とブランド力が、マクドナルドには備わっていると私は考えています。