日産自動車(7201)は昨日29日、横浜市内で定時株主総会を開いた。2020年3月期決算の最終的なもうけを示す純損益が6,712億円という巨額の赤字となり、期末配当を10年ぶりに無配としたことについて、株主総会にて社長が直々に謝罪したことが話題となりました。

純損益の赤字は、リーマン・ショックがあった09年3月期以来11年ぶりとなり、改めて業績の悪化が目立つ結果となりました。
コロナ対策のために株主からの質問は制限された模様だが、厳しい意見が多く、「昨年も、その前も、業績が良くなると言っていた。期待できない」などと指摘を受ける始末。
かつては高配当日本株として人気のあった日産自動車ですが、日本企業特有の、ちょっと悪化したらすぐに無配転落するという株主軽視の姿勢を見せ、同社の株価は芸術的なまでの右肩下がりを見せているのである。

近年の同社の話題の中心といえば、元CEOのカルロス・ゴーン氏にまつわるものばかりで、彼の役員報酬が莫大だという話題から、逮捕劇、逃亡劇など、ゴーン氏の話題だけで事欠かない状態で、肝心の商品の話題性はほとんど皆無でした。
モデルチェンジから時間が経過した車が増えるなどし、年間販売台数は500万台を割り込んでいるという状態で、本業はかなり不調なことがわかります。(ちなみにトヨタ自動車グループの年間販売台数は1074万台(2019年))
無配転落に、販売台数の減少と、およそ本業では良いとこなしの日産自動車ですが、いまだに個人投資家には人気の日本株らしく、SBI証券の日本株の出来高ランキングでは、堂々の5位となっています。

そればかりか、カルロス・ゴーン氏の不祥事が明らかとなり、日産の株価が大暴落し始めた頃にはNISAでの個別株ランキングで日産自動車が出来高ランキング1位になることさえありました。
もちろん。個人投資家が個別株で何にいくら投資しようが私の知ったことではないのですが、明らかな危険信号を発している企業の株をNISAで買うのは大変ハイリスク・ローリターンですから止めておくのが賢明と言えるのではないでしょうか。
NISA枠は『非課税』という認識しかない方も多いと思いますが、『非課税』ということは、仮にNISA枠で投資した株で損失を被ったとしても、損益通算で取り戻すことができないということです。
つまり、リスクが高く、あまり長期投資でリターンを見込めない銘柄であればNISA枠を使ってしまうのはあまりにもったいない選択肢だと私は思います。
それ以前に、リスクが高く、リターンが見込めない銘柄に資金を投じること自体が問題だと言えるのですが、もしかしたら、たまたま偶然、運が重なって数年単位で投機的な短期投資で資産をどんどん増加させることができるという投資家もいるようです。
そう言った人たちには、日産自動車のようなハイリスクで方向性が決まった投資対象は格好のマネーゲーム対象になるのだと言えるでしょう。
そしてそんな短期的な視点を持っている投機家にとっては、NISA枠を利用するのはナンセンスと言えるのではないでしょうか。
NISA枠で将来性の無い中堅自動車メーカーの株を買う時点で、長期投資目線ではないのでしょうが、そういう使い方をする投機家が多かったために通常NISAを強化するのではなく、つみたてNISAなどという使いづらい制度ができてしまったのだと思います。
彼らがNISA枠を利用してまで投資した日産自動車はどうなったのでしょうか。先程のチャートを見れば、おそらくほとんどがアンダーパフォームしていると言えるのではないでしょうか。
やっちゃった日産自動車がこれから回復する見込みは今のところなく、そもそも投資先として優秀とは言えないでしょう。株主としてわざわざ株主総会に参加して『毎年業績が良くなる』と騙されるくらいならさっさと損切りしてしまって、もっと収益性の高い株へ投資するのが良いのではないでしょうか。
日産はこれからも大きく成長する余地はなく、長きにわたってやっちゃう可能性がありますので、気を付ける必要があるのではないでしょうか。