『富裕層向けの資産防衛メディア』幻冬舎ゴールドオンラインにて、大変興味深い記事が掲載されておりました。

投資を始めるときに個別株を買う場合、資金内で何銘柄買うのがよいかという点は誰しもが悩む点だと思います。そんな時は『平均でいくらのリターンが見込めるか』という期待値を計算してみることが良いということです。
たとえば、10,000円が1/4の確率で当たるくじがあったとしたら、『10,000×1/4=2,500』で、期待値は2,500円となると言ったようにリターン金額だけに目を奪われず、その期待値を計算し、最もリターンが高まるものに資金を投じることを勧められています。
こう言った宝くじと同じように計算するのは難しいが、個別株を買う場合にもこのように期待値を計算してみることをお勧めしています。
たとえば、銘柄Aを任意の金額で買い、任意の時期に売ると50万円の利益が出ると想定します。この銘柄Aは優良大型株で、買うタイミングも適正なため、非常に高い確率で50万円を稼げると考えます。そのため50万円の利益が上がる確率を90%と仮定し、
50×0.9=45
で、期待利益(期待値)は45万円となります。
一方、銘柄Bを任意の金額で買い、任意の時期に売ると300万円の利益が出ると想定します。この銘柄Bは小型成長株で、大化けが期待できます。しかし、新興企業であり必ずしもその確率が高くないので、300万円の利益が上がる確率を20%と仮定します。すると、
300×0.2=60
で、期待利益(期待値)は60万円となります。
個別株こそ何割の確率でどのように成長するかという点はなかなか難しいと思いますが、例えば過去10年間のEPSの平均成長率から10年後のEPSを計算し、同じく過去10年間の平均PERを当てはめるなどすると10年後の『期待株価』を求めることが可能です。
さらに、過去最高PERと過去最低PERを同様に当てはめるなどして、いくつか基準となる『期待株価』を求め、それぞれの確率を仮定して当てはめることで、リターンを求めることが可能となります。
成長性の高いグロース株であれば、これから先も高いEPSとPERを享受することができるでしょうし、逆に成長可能性のあまり高くない安定配当株であれば、あまりに高すぎる成長を期待すれば実体と大きくかけ離れることになるでしょう。
中核となるそれぞれのリターンの確率は個々の投資家の考え方次第で変わってきますが、それも踏まえて個人投資家の投資判断ということにつながるのだろうと言えるでしょう。
世界一の投資家とも呼ばれるウォーレン・バフェット氏が、「場合によっては、注ぎ込む金額が少ないことが、かえって失敗になることがあります」と述べているようにここぞという時に集中投資をすることの重要性を述べています。
私も100万円から投資を始めた時に、ビザ(V)とコカ・コーラ(KO)の2銘柄に分けて投資を始めました。どちらも私にリターンを与えてくれており、優良株であることは疑いようがありませんが、圧倒的にビザがコカ・コーラをアウトパフォームしていることは言うまでもありません。
これは、まだまだグロース株としての側面と景気循環株としての要素を併せ持つビザが、リーマンショックの際にはまだまだ評価が低かったのに対して、生活必需品としてリーマンショックでも大きく下落せず株価の安定感を見せつけたコカ・コーラとの違いと言えるのではないでしょうか。
つまり、2010年以降、リーマンショックからの景気回復のフェーズにおいては景気回復期に強みを見せるビザの期待リターンがコカ・コーラの期待リターンを相当上回っていたのは明らかですが、分散投資をしたがために資産の拡大が遅くなったということになります。
資金が小さい間や、それほど期待リターンの大きい銘柄が多くない間は、一つの銘柄に集中投資することが成功の秘訣と言うことをバフェット氏は教えてくれているのだと思います。
個別株投資をするのであれば、分散投資も大切ではありますが、成長可能性やリスクと向き合って、最もリターンの高い1銘柄から投資を始めることが将来のリターンを高めるために効果的だと言えるのではないでしょうか。