日経新聞によれば、米マイクロソフトは26日、すべての直営店を閉鎖すると発表したとのことです。

米国を中心に約80店を運営してきたが、今後は修理などに対応する一部の施設を残して撤退するということで、クラウドサービスが事業の中核となるなかで、直営店を持つ意義が薄れていたため思い切って閉鎖するということになったようです。
そんな直営店の閉鎖に伴い、2020年4~6月期に約4億5,000万ドル(約480億円)の費用を計上するということとなったようです。
つい先日、マイクロソフトは、『黒人優遇政策』とも取れるような、きな臭い内部抗争の様相を見せる発表をしたばかりでした。

人種にかかわらず、多様性を認めるということ自体は大変素晴らしい思想だと思いますが、一定数の黒人を必ず幹部に登用するというのは、『逆差別』とも捉えられ、本来あるべき、能力のある者を人種にかかわらず登用するという姿からかけ離れる恐れがあることが懸念されました。
そんな発表があった直後に480億円もの費用計上か・・・!と悲観的になりそうなものです。
しかし直営店の閉鎖はある意味ではベストな選択肢だと言えるのではないかと私は思います。マイクロソフトの直営店は、2009年に同社が『Windows 7』の発売したのと同時に第1号店がオープンとなりました。
2009年と言えばまだリーマンショックの影響が色濃く残っていた時期であり、そんな時期にもかかわらず、『無能』な前CEOのスティーブ・バルマー氏が、アップル(AAPL)に対抗するために作ったのが始まりです。
CEOがサティア・ナデラ氏に変わって以降は、前述の通りクラウドサービスが収益の柱となり、直営店の持つ意義が薄れていたと言いますし、コロナの影響で直営店が閉まっていたにもかかわらず、マイクロソフトの『Serface』への影響も限定的だったということです。
コロナをきっかけに直営店を完全閉鎖することは一時的に費用が発生するものの、中長期的に見ればマイクロソフトにとってはプラスとなるのではないだろうかと思います。
実店舗の運営というのはかなりの費用がかかりますし、マイクロソフトのようにクラウドサービスのサブスクリプション型のビジネスが主流の企業にとっては、無用の長物だと言えるでしょう。
なので、無能な経営者が見栄で作った実店舗をやっと処分することができたという感覚でしょうか。多額の費用がかかるのも一時的なので、むしろ良いことなのかもしれません。
少しだけ雲行きが怪しいマイクロソフトですが、これからも投資家に大きなリターンを与えてくれるのでしょうか。
将来がどうなるかは分からないですが、我々個人投資家がやるべきことは変わらず、四半期の決算をしっかりと確認して、各々が各々の投資判断をしていくということが重要でしょう。
過去数年間のように『GAFAM』であれば、買って放置しておけば知らない間に億万長者になれる!というような幻想を捨て、わざわざ個別株を買うという意味を改めて考える必要があるのではないかと思います。