今月12日、米ネブラスカ大学在学の20歳の大学生が自殺をするという事案が発生したそうです。

彼が自殺を図ったのには理由があり、今の若年層をターゲットにした投資アプリ『ロビンフッド』が原因だということです。
もちろん、ロビンフッドは非常に素晴らしいアプリであり、手数料無料の株取引アプリの先駆けで、ユーザーは米国内で昨年末の時点で1千万人を超えるほど成長している期待の投資アプリである。
今のところ、まだ日本国内では利用できないみたいですが、今後日本に進出してきた場合、手数料がかからないと言うメリットは大きく、外国株で取引手数料がかからないのであれば、有力な選択肢の一つとなるでしょう。
このように素晴らしいアプリであるロビンフッドですが、手数料無料かつ、株式以外にも仮想通貨やオプション取引なども利用することが可能で、それらも簡単に取引を開始することができると言う点が今回の悲劇を招いたようです。
新型ウイルス流行により株式市場が激しく変動する中、彼はロビンフッドに新しく口座を開設し、オプション取引を始めたと言います。そして彼が一時期でも儲かっていたのかどうかは定かではないものの、画面上に表示された、マイナス73万165ドル(約7,800万円)の現金残高に絶望し、自ら命を絶ってしまったのです。
確かに20歳でおよそ8,000万円の借金を背負ってしまったとあれば、絶望的になる気持ちはわかります。
しかし、この額は、借金の額を示したものではなく、割り当てられたオプションがアカウントに反映される前の暫定残高だった可能性があるということで、彼が勘違いで自殺してしまったのかもしれないというところが悲惨さに拍車をかけているのである。
彼が自らの命を絶つほどまでに追い詰めた原因は何だったのだろうか?それは彼自身が遺した遺書に記載されている言葉が全てを物語っています。
パソコンに残された遺書には、「自分が何をしているのか全く分かっていなかった」と記されている。
彼は、何の予備知識ももたずに、手軽に始められるからと言う理由で気軽に株式投資を始め、自分でもよく分かっていない取引に手を出して、大損をしたと勘違いをして自殺してしまったのです。
株式投資はうまく利用すれば、あなたの人生を豊かに、実りあるものにしてくれる可能性を秘めた素晴らしいものです。誰しもが資本主義に則って、富を形成することができる素晴らしい仕組みなのです。
ですが、下手に利用すれば、逆に人生を棒に振るような失敗に直結する可能性も大いにあります。
そして、株式投資の世界において、無知なままよく分からない取引に手を出すと言うのが最も下手な利用方法と言えるでしょう。投資初心者が陥りがちな大きな罠ですが、なぜか自分だけは失敗しないとでも思っているのか、リスクの高いオプション取引などに魅了される初心者投資家はどこの国にもいるのでしょうね。
株式投資が怖いと言う人は、総じて無知だから怖いだけなのです。無知で怖がっているならまだマシで、無知なのにも関わらず投資の世界に突然飛び込んで無茶な取引をする人々が、こうして大損をし、自ら命を絶つと言う最悪の結果を招くこともあるのです。
何の努力もせず、何の知識も得ずに、大金を稼ぐことなどあり得ません。もしあるとしても、宝くじの1等に当たるというような再現性のない非現実的なものくらいでしょう。
私は株式投資を万人に勧めていますが、特に投資方法にこだわりがないのであれば、S&P500に連動する投資信託を淡々と買い付けると言う投資方法をお勧めしています。
S&P500への投資であれば、時間はかかるものの着実に資産を形成することができるため、投資に関して無知な状態であっても市場平均並みのリターンを得ることができるからです。
私が個別株投資をしているのは、あくまで趣味の一環であり、投資に興味があるからです。興味があるから自ら知識を蓄えようとしますし、興味があるから四半期ごとに決算の数字を見たりすることに楽しみを見出せるのです。
もし短期間でお金持ちになりたいのであれば、デイトレーダーとしての知識や心構えが必要となってくるでしょうし、そう言った知識を得るための書籍や情報もたくさん巷に転がっていることでしょう。
デイトレーダーにせよ、長期投資家にせよ、自らの意思で取引をするのであれば、せめて『何をしているのか』分かる程度のものにしか手を出してはいけません。
何の知識も持たないまま市場に飛び込んでいくのは愚策以外の何者でもなく、今回のケースのように最悪、命まで落としかねないのです。
まだ20歳と若かった命を失ってしまったのは非常に残念ではありますが、同じような過ちを犯してしまわないよう、個人投資家の皆様は自分の知識の範囲外には手を出さないことをお勧めいたします。