今月5日、CNNに投稿された記事によりますと、米国の進歩的なシンクタンク、政策研究所が3月18日以降のデータから報告書をまとめ、今月4日に発表した内容によると、過去のおよそ3カ月間で、米国の富裕層の資産が5,650億ドル(約62兆円)増えていたことが分かったと言うことです。

新型コロナウイルスの感染拡大で多くの米国人が経済的な打撃を受ける中、富裕層との格差が一段と広がった形だと報道しており、まさに富の不平等が拡大している様相が伺えるかのような記事の内容です。
事実、富める者と貧しい者との格差は一段と広がっていることは否定できません。2018年には世界の富の82%は上位1%が保有しているという報告書が国際NGO団体から発表されましたし、世界一の資本主義国家である米国でも格差は顕著に広がっており、米国内の富の半分は上位0.1%が保有しているとも言われています。
では、彼らがなぜそれほどまでの富を独占するまでに至ったのでしょうか。それは実に単純で、彼ら成功者は皆、果敢にリスクを取って成功してきたからだと言えるでしょう。
CNNの記事を見る限り、過去3ヶ月間でますます格差が広まったかのような印象を受けますが、3ヶ月前の3月頃には、米国株市場はコロナショックによる下落の真っ只中で、株価はむしろ下落に向かう途中でした。今回のデータの起算日である3月18日は、NYダウが久々に2万ドルを割り、どこまで株価が下落するのか不明な状況が続いておりました。

それでも富裕層たちは当然、自社株を売り払うと言った愚行には出ず、保有し続けていたために株価が回復すると同時に資産額が増えてきたのだと考えられます。下落していた株がただ戻っただけで、上位層の彼らが特別大儲けしたと言うわけではなさそうです。
例えば日本のメディアがこぞってGPIFの運用益の減少を、『巨額の損失』と報道し、政府機関が投資をすることに反対であると言う報道を好むように、CNNは逆に『お金持ちがさらに儲けて格差が広がった』ように取り上げるメディアだと言うことでしょう。
これは国ごとにメディアのメインターゲットの考え方や興味・関心の違いが顕著に出ていると言えるでしょう。
つまり、日本では、『投資で楽して儲けようとするなんてけしからん』という考え方が一般的なので、GPIFが投資に失敗して巨額の損失を被ったように見せた方が視聴率が上がるのです。
一方、CNN.comのメインターゲットである米国では投資そのものは市民権を得ているので、日本と同じような報道の仕方では視聴率は取れず、米国の社会問題である『格差社会の広がり』をテーマに扱うことで、視聴者の憤りを煽ることができ、結果的に視聴率につながるのです。
こうした国民性の違いや、社会で問題となっている関心ごとの違いで報道の仕方にこうも違いが生まれるのです。
しかし、メディアがどのような取り上げ方をしようが、富裕層がしていることが一貫しており、自らの事業を拡大させるため、リスクを恐れずに行動し続けているというだけなんです。
彼らのような実業家や、我々のような投資家の資産の拡大スピードが、ただの労働者と比べて格段に早いのは、まさにリスクを恐れずに行動しているからなんです。富の不平等を生み出すモノの正体は、リスクへのアプローチの仕方だと言えるでしょう。
逆に貧乏人が貧乏であり続けるのは、リスクを恐れて何もできずに現状維持に満足してしまっているか、そもそもチャンスが訪れてもリスクを大きく取れるほどの資金が無いかのどちらかです。どちらも自分自身の気の持ちようや、普段からの行動次第でどうにでもなるということが分かるかと思います。
果敢にリスクを取ってきた富裕層と、リスクを避け、最低限の生活に満足してきたそれ以外の人々の間には、これからもますます格差が広がり続けることでしょう。それが資本主義の原則です。
とは言え、誰しもがアマゾン・ドット・コム(AMZN)やアップル(AAPL)、マイクロソフト(MSFT)のような優良企業を築き上げることができるワケではないというのもまた事実です。
一代で時価総額1兆ドルを超える企業を築き上げることは困難でやはりそれなりの商才を有している人物でなければならないと思います。
ですが、投資家として、彼らのような優秀なCEOが率いる優秀なビジネスの一部を保有することで、彼ら創業者ほどではないにせよ、大きな利益を生み出すことができるのです。
投資家の本来の役割は、事業のリスクの一部を肩代わりすることです。そしてその代わりに、利益を生み出した時にその一部をもらい受けるのが投資家としての利益の源泉と言えるのです。
事業を立ち上げるのはそれなりの覚悟がいるかもしれないという人でも、ネット証券に口座を開いて、数千円〜数万円単位で投資をするだけなら可能です。
ここまでお膳立てされても始めない人は、どんどんとジリ貧となっていき、貧困に喘いだまま人生を奥ることになるでしょう。
富裕層の資産が拡大したとは言え、決してラクな道のりではなかったということだけはご理解いただきたいです。リスクを適切に取ることができた人だけが、今回の相場で大きな収益を上げることができたと言えるのですから。