米国・マイクロソフト(MSFT)が今月14日、仮想化ネットワークや通信ソリューションを手掛ける英Metaswitch Networksを買収することで合意したと発表しました。

Metaswitch Networksは、通信サービスプロバイダーがサービスを構築するためのソフトウェアソリューションを開発・提供している企業であり、来たるべき5Gへの対応を強化するための買収と見られています。
また同日、アップル(AAPL)がカリフォルニアに拠点を置く、スポーツのVR配信を手掛けるベンチャー企業、NextVRを買収したという報道がありました。

この買収により、アップルによる仮想現実(VR)の世界がより現実的なものとなり、『iPhone』や『Apple Watch』などに次ぐ新たな主力製品の開発に余念がないことを示しました。
この他にも、フェイスブック(FB)がGIF画像の検索エンジンプロバイダーであるGIPHYの買収を発表したり、誤報だったようだが、アマゾン・ドット・コム(AMZN)が映画館チェーンのAMCの買収が報道されたりと、先週だけで、米国の大手ハイテク企業によるベンチャー企業の買収報道が立て続けに発表されました。


先日、GAFAM各社の時価総額が東証一部上場企業の全銘柄の時価総額の合計を超えたことが話題となりました。

わずか5社で時価総額の合計が560兆円というのは凄まじく、さすがに資金が集中しすぎていることから、いずれは大きく暴落するのではないかという見方もされています。
確かにGAFAM各社は成長期待性から大きく買われているところがあるのも否定できません。今でも一時期の調整が終わって以降、株価が大きく上昇していることから見ても、かなり積極的に投資されてるなという印象を持ちます。
もちろんこう言った時代を牽引してきた企業もいずれは成長が止まり、投資冥利のない企業へと後退するのが世の常です。GAFAMも10年後に必ず残っているとは限りませんし、残っていても市場を牽引するほどの優良企業かどうかは分かりません。
ですが、GAFAMの積極的な買収を見ていると、彼らは王者だからと言って慢心することなく、今日も成長のために積極的な投資を行い、素晴らしいシナジーを形成して市場に新しいサービスや強力なモートを築くための案を実行し続けているのだと思うと、GAFAMの成長はまだまだ止まることを知らないのではないだろうかと私は思います。
もちろんこれらの投資が全てプラスに働くとも限らず、買収したもののあまり日の目を見ることがなかったという案件があるのも事実です。これらのベンチャー企業の買収がどれだけGAFAMの成長にプラスとなるのかはまだ未知数です。
しかし、現状に満足せず、成功体験に自惚れず、自らのシェアを拡大するために今も全力で成長し続ける彼らに大企業特有の慢心は見えないように感じます。
例えば、ついに倒産したJCペニー(JCP)やJ・クルー、ニーマンマーカスなどは、小売業の中でも百貨店という旧式の店舗を運営していたために、今回のコロナショックで致命傷を負い、消えゆくこととなりました。
また、日本でもバブル直後にはアパレル最大手だったレナウンが民事再生を適用させました。

レナウンもまた、昭和の成功体験を引きずっていたことが倒産にまで至った原因ではないでしょうか。
人というのは悲しいかな、一度成功するとその成功体験を忘れることはできません。世の中の形が変わってしまってもなかなか変化に対応しようとはしません。それでも大丈夫だと信じているからです。
ですが、GAFAM各社を見ると、そう言った成功体験に収まることなく今もまた新しい分野に進出しようと虎視淡々と狙っているのです。
彼らは超巨大企業にまで成長した今でも、ベンチャー時代の精神を忘れず、なんならむしろ驚異的なほどのキャッシュポジションを背景に、ベンチャー企業をガンガン買収していく側にシフトチェンジして、これからも成長のために全力で小さな企業を買収していくことでしょう。
そう考えると、GAFAMにはまだまだ投資冥利があり、彼らを打ち倒すことができるような企業が果たして2020年代の間に現れるのかどうか。というほど安定感があると言えるのではないでしょうか。
もちろんこれからの10年がどうなるかなんて私には分かりませんが、GAFAMには依然として強気の姿勢を保っていても良いのではないかと思う次第です。