著名投資家ウォーレン・バフェット氏率いる米投資会社バークシャー・ハザウェイが保有銘柄の見直しに動いている。米大手地銀USバンコープ(USB)を一部手放したことが13日、明らかになりました。

USバンコープはミネソタ州ミネアポリスに本部を置く米最大規模の地方銀行であり、バフェット氏のお気に入り銘柄として名を連ねるほどの優良銀行株である。

そこまで目立たない地銀と侮るなかれ、金融株が総じて大ダメージを受けたリーマンショック時の2009年度でも純利益率10%台後半を叩き出し、それ以降ほとんどの年度で純利益率25%を上回るなど、その収益率は全米トップクラスを誇る、バフェット好みの優良銀行株として有名でした。
バークシャー・ハサウェイは売却の理由を明らかにしておりませんが、わざと発行済株式数の10%を下回るように一部売却をしてきたことを考えれば、これからさらに大きく売却する可能性も否定できません。
ですが、バークシャーのポートフォリオのほとんどを銀行株が占めることを考えると、さすがに航空株の時のように全株売却ということはしないだろうと思います。とは言え、一時的にバフェット氏が銀行株の収益性の悪化を恐れているということが伺えます。
確かに銀行株の未来はそれほど明るくなく、もともと米国内でも長引く低金利に加え、トランプ大統領からFRBへの圧力でさらに金利は引き下げられました。
この政策は相対的に株の価値を高め、昨年までの株価上昇を牽引してきた理由の一つと言えますが、その後に発生したコロナショックにより、大規模な金融緩和が必要な時期にこれ以上金利引き下げができない水準まで下がっていました。
もしも米国でもマイナス金利を導入することになると、とてもじゃないが、金利で稼ぐ銀行業が儲かるビジョンは見えてこないですね。
コロナ後の世界がどう変わるのかは不明ですが、おそらく銀行株や航空株にとって厳しい環境が続くことは明らかでしょう。さらに、ハイテクやヘルスケア、生活必需品の一部がこれからもその強みを発揮してくれるだろうと思います。
つまり、コロナショックによって強いセクターが大きく入れ替わることはないのかなと感じています。まだそう判断するのも早すぎるのかもしれませんけどね。
バフェット氏は今回、手持ちの銀行株のほんの少しだけ売却しましたが、今回は航空株と違って利益確定となったことでしょう。バフェット氏は、100年に1度と言われた金融危機のリーマンショック時に銀行株を大きく買い増ししたのです。激安と言える株の大セール中に強気に買い姿勢を見せるバフェット氏に驚いた投資家の方も少なくはないことでしょう。
そんな強気のバフェット氏が、一部とは言えお気に入りの銀行株を売却し始めたというのは大きな転換点であることを感じます。
私は金融株についてはあまりよくわからないので投資対象とはしていないのですが、銀行としての本業が脅かされる可能性を考えれば、確かに金融株の未来は暗いものと感じてしまいます。
しかし、バフェット氏はUSバンコープ株も2006年から保有してきたために投資元本は既にほぼ回収できていました。この事実だけでも、我々が投資する際にも長年保有し続けることの大切さを学ぶことができるので花でしょうか。
また、こういう事象が起きた時、最も避けるべき行為は、「バフェット氏が売ったから自分も売ろう」と言った、理由が曖昧な売却です。
自分の意思で売却したのであればともかく、バフェット氏が売却したということだけで持ち株を売却する投資家もどきが世界中にいることは変わりありません。
ですが、著名な投資家だからと言って、バフェット氏が売買した通りに投資をしていても何の学びにもなりません。
誰かが買ったから、誰かが売ったから、自分も同じようにしたというのは、投資家として最悪の回答と言えるでしょう。
銀行株の先行きが芳しくないとしても、もし手持ちの株が影響を受けそうであれば、バフェット氏の投資判断ではなく、あなた自身の投資判断で売却を進めることをオススメいたします。
バフェット氏にはバフェット氏の、あなたにはあなたの投資手法があるのですから、バフェット氏が見る未来と、あなたが見る未来は全く別物なのです。
ですから、あなたはあなたの考えに基づいて投資をすること。それを心がけていれば、どれだけ大きな調整が市場を襲おうと、あなたは市場に生き残り続けることができるのではないでしょうか。