米カジノ大手のラスベガス・サンズは13日、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)の日本への進出を断念する、と発表した。

ラスベガス・サンズのCEOであるシェルドン・アデルソン氏曰く、「日本におけるIR開発の枠組みでは私たちの目標達成は困難である」とのことであり、コロナウイルスの影響で業績が悪化している同社としては巨額の設備投資をしてまで日本に進出するメリットがなくなったからと言えるでしょう。
これで日本にカジノができる可能性がなくなったとは言い切れませんが、ラスベガス・サンズのような巨大カジノ企業が諦めたとなれば、実現可能性が少し下がったかな?と言うことでこれ自体は朗報とも言えるかもしれません。
2016年にIR整備推進法が施行されて以来、アジアでもマカオに次ぐ巨大なカジノ市場になりうると考えられていた点はありますが、ここ最近は、カジノ関連企業の日本に対する関心は低下している。
特に障壁となったのは、日本でのライセンス期間が10年間と短く、100億ドルとも言われる投資額を回収して十分なリターンを得るにはあまりにも短いという点です。
そのおかげで、日本にカジノ市場が生まれる危機が抑えられたとも言えますが、喜んでばかりもいられないのではないかと感じます。
今回のケースで言えば、カジノと言うあまり喜べないものが出来るか否かと言う話だったので、ラスベガス・サンズの撤退は朗報ですが、裏を返せば、ラスベガス・サンズと言う米国の巨大企業に、日本が『投資冥利のない国』と烙印を押されたことになります。
これがもし、新しいテーマパークや観光名所だったらもっと落胆する人が多かったんじゃないかと思います。まあ、どんな施設であれ、外国人の訪日客が増えると言うだけで拒否反応を覚える日本人が多いことも事実ではありますが。
しかも、カジノの誘致に失敗したら、もしかしたら既存のギャンブルであるパチンコ・パチスロと言ったものが、もっと大量に乱立する可能性もあり得ます。
当ブログでも何度も取り上げているように、ギャンブル依存と言うのは相当に儲かるわけです。自粛期間中であっても自粛する気のないパチンカスの方々が、お金を落としに群がってくれるわけですからね。
カジノが来ないとしても、ギャンブルが一切なくなることはないのです。依存症を生み出すギャンブルやタバコ、お酒などは人間の弱さにつけ込んだ『必要悪』とも言えるのです。
だとしたら、ラスベガス・サンズの撤退の後に残るのは、『投資冥利のない国、ニッポン』に乱立するパチンコ店なのかもしれません。
カジノだけに限った話ではなく、日本という国が投資先として微妙だということは確かであり、日本最大の証券取引所である東証が『カジノ』と揶揄されるくらい、外国人から短期売買で弄ばれている市場となっているのです。
長期的に投資するには、成長見込みもなく、あまり魅力的に見えない日本という国は、新しい産業も生まれてこないし、海外からの誘致も失敗するとなれば、日本はどうなっていくんでしょうね。
今回の撤退がカジノだったから喜ぶべきことではありますが、その実、日本に投資冥利がないと判断された事実は重く受け止めるべきなのかもしれませんね。